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五十四話 お題:受け売り 縛り:紆余曲折

 スポーツトレーナーの友人から聞いた話である。

彼は高校時代野球部に所属していたのだが、当時の監督が一種の天才だったという。

「選手をぶっ壊す才能っていうのかね。本とかで拾ってきた知識を自分が考えたみたいに言うのはまだいいんだが、実際に教える時に変なアレンジを加えるんだよ。そんで指導された通りにやってるといつの間にか体に負荷がかかってて、ある日突然故障しちまうんだ」

 先輩や同級生が次々に故障していく中、彼は監督の指導の異常性に気づき、極力指導を無視することにした。故障することはなかったものの、指導に従わないということで日に日に監督からの風当たりが強くなり、結局2年生の夏に退部したという。

「故障させられたやつら集めて、野球部の監督変えろってかけあったりもしたんだけどさ、適任者が他にいないとかふざけたことほざきやがって、結局駄目だったんだよ。あんなんに監督やらせとくんだったらお飾りの方が千倍マシだっつーのに」

 高校卒業後、彼は風の噂でその監督が解任させられたことを聞いた。怪我人がさすがに無視できない数になった、反抗してきた部員に暴力を振るい病院送りにした、など解任の原因はそれらしいものがいくつも飛び交い定かでなかったが、それでもこれ以上犠牲者が増えなくて済むと安心したという。

「まぁある意味究極の反面教師だよな。今でも指導してる時あいつみたいになってないかって思うと、一発で気が引き締まるからな」

 彼がスポーツトレーナーになるまでは紆余曲折あったらしいが、それでもスポーツをする際間違った指導で不幸になる人を一人でもなくしたいという思いで頑張ってきたそうだ。

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