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五十三話 お題:湿る 縛り:無用、王様

 高校の後輩の話である。彼はいわゆるいじめっ子であり、高校ではそれこそ王様のような振る舞いをしていたという。頭の回転が速く喧嘩も強いため、クラスの中で取り巻きを作って気に入らないクラスメイトをいじめ、先生に咎められそうになった時は口八丁で切り抜け、時には取り巻きの一員すら使えないやつは無用とばかりにいじめの標的にした。1年生まではそんな生活が続けられたのだが2年生になって問題が起きた。

「1年の時にいじめてたやつが俺に向かって呪ってやるって言ってそのまま不登校になってさ、周りのやつらと呪うとか馬鹿じゃねーのって笑ってたんだけど」

 そのことがあってからしばらくして、彼の体に異常が起きた。最初は水につかっていたわけでもないのに指先がふやけるようになり、それが段々手、腕と上っていき、やがて全身の皮膚がふやけるようになってしまった。

「いつも体中が湿ってるような感じなんだよな。全身かゆくてたまらないんだけど、肌がもろくなってるから強くかくとすぐ剥がれて血が出るんだよ。今はそこから更にひどくなって肌にカビが生えるようになってさ。立ってても座ってても寝ててもかゆいし痛いんだよ。死ぬ思いして俺を呪うって言ったやつの家に謝りに行ったら親が手紙を渡してきて、中を見たらそのまま死ねって書いてあった。もう俺どうにもなんねぇのかなぁ、もう死ぬしかねぇのかなぁ」

 彼は高校を中退し治療に専念しているが、病状は一向によくならないという。

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