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四話 お題:海苔 縛り:結果
学生の頃の話だ。ほったらかしにしておいた海苔を処分するため、握り飯を作ってそれに巻いて食べることにした。食べてみるとどうも食感がおかしい。しけたにしても妙だな、と思いながら噛んでいると、口の中で海苔がほどけて動き出した。驚いて大半は飲み込んでしまったが、わずかに口の中に残っていたものを吐き出すと、髪のように細い何かが尺取虫のように体を伸び縮みさせていた。トイレで胃の中のものを全て吐き出した後部屋に戻ると、海苔に化けていた何かはどこにもいなかった。貧乏学生で引っ越す金もなかった俺はその部屋に住み続け、食べた結果体のどこかに異常が出るということもなかったのだが、ただ以前と比べて明らかに傷の治りが早くなったように思う。俺の体の中で、あの黒くて細い何ものかが蠢いて傷を継いでいるのを想像すると、時折無性に、自分の体を片っ端から切り開きたくなる。