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四十八話 お題:和議 縛り:税

 知人の家に代々伝わる話である。彼の先祖はいわゆる豪農だったのだが、税の取り立てがあまりにも厳しすぎる、ということである時村を代表して藩主に直談判しに行ったそうである。死を覚悟しての直談判だったのだが、当時の藩主は中々できた人物だったらしく、彼の先祖の言うことをきちんと聞いた上一切罰することなく解放し、取り立てる税の見直しまで行ったそうである。

「それで藩主とご先祖様が話してるところに、なんか死神が同席してたんだってよ」

 その死神は黒いぼろ布で全身を覆っており、性別も何もわからなかったという。ただ藩主の家来が死神に触れても素通りしたことから明らかにこの世のものではなかったそうだ。私が彼に、お前のご先祖様はどうしてそれが死神だってわかったんだと聞くと、

「いや、なんか村の税の見直しが決まった時、そいつ思いっきりため息ついたんだってさ。場合によっては餓死者が出て一揆とかにも繋がりかねなかったらしいから、死人が少なくなると思ってがっかりしたんじゃないかって」

 私がなるほど、と納得すると彼は、でも俺は違うと思うけどね、と言った。私がじゃあお前はどう思ってるんだと聞くと、

「いや、絶対安心してため息ついたんだって。死神だって死人が減れば仕事が少なくなって嬉しいはずじゃん」

 それはそれで説得力があるなと私が言うと、彼はだろう? と勝ち誇ったように笑った。

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