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四十五話 お題:ナイチンゲール 縛り:花笠、戯れ事

 専門学校で知り合った悪友の話である。彼は自他共に認める女好きで、しょっちゅう街中でナンパをしているのだが、一度花笠祭りでナンパをしたことがあるという。

「夏に友達と普段行かないようなところ行かねぇかってことになってさ。車で山形まで行ったんだけど普通に祭りがすげぇから、なんていうかナンパする空気でもなくなって単なる旅行になっちまったんだよな」

 とはいえなんだかんだ祭りを楽しんでいたそうなのだが、その最中にふとすれ違った女性に彼は一目惚れをした。

「友達に悪い、俺ちょっと行ってくるわって言って追いかけてさ。花笠で顔隠れてたけどそれでも俺の好みドンピシャだっていうのわかったし」

幸いすぐに追いつくことができ、彼はそのままナンパを開始した。しかしどれだけ話しかけても反応がない。一体どうしたのかと彼が不審に思うと、彼女は二コリと笑って、

「声は出してくれたんだけど人の声じゃねぇんだよ。鳥の鳴き声。鳴き真似にしても上手いとかそういうレベルじゃなかった」

 それでも彼は諦めず、鳥の鳴き真似上手いねと話しかけたりしてねばったそうなのだが、彼女は笑顔を浮かべて鳥の声で鳴き続けるだけなのでとうとう諦めて退散したという。

「友達からは駄目だったか、ざまぁみろとかからかわれるしさ。忘れようにも声以外はほんと好みだったから中々忘れられないし、すっかり嫌な思い出になったよ」

 それからしばらくして、彼はドイツに旅行に行ったそうなのだが、そこで花笠祭りで出会った女性と同じ鳴き声を聞いたそうだ。

「調べたらナイチンゲールって鳥で日本にはいないんだよ。それであの祭りの時のは本当に戯れ事だったんだってことがわかったんだ。こっちは本気だったのに」

 流石にかわいそうになったので、今度飯でもおごってやるよ、と言っておいた。

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