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四十三話 お題:私財 縛り:八百屋、賭ける、夜間、修復

 近所の神社に伝わる話である。昔その神社はボロボロだったそうなのだが、これから博打に行くという八百屋が冗談半分で参拝したところ大勝ちしてしまい、以来参拝しては勝ち参拝しては勝ちを繰り返して一財産築いてしまったそうだ。これも神社の神様のご加護だということでその八百屋は博打で勝った金の一部を使って神社を修復した。工事が終わった日の夜間、八百屋が自分の部屋で金を数えていると、目の前に突然見知らぬ老人が現れた。老人は八百屋が修復した神社に祭られている神だと名乗り、その礼のために出向いたと言った。八百屋が、

「礼を言うのはこちらの方だ、あなた様の神社に参拝するまでは金を賭ける度に巻き上げられてきたが、今やこの通り大金持ちだ、もし他にもしてほしいことがあったらなんでも言ってもらいたい」

 と言うと、老人は気まずそうに、

「実はお主が博打で勝てたのは私の力ではなく全てお主の強運によるところなのだ、にも関わらず社を建て直してもらいなんともいたたまれずこうして出向いてきた、何の利益も与えず頼みごとをするのは心苦しいのだが、時々でいい、社に握り飯と酒を供えてはもらえないだろうか」

 と言ってきたという。それを聞いて八百屋は神でありながら人に頼みごとをするのにわざわざ出向いてくるなど見上げた心意気だということで、度々握り飯や野菜を山のように供えたり、一斗樽を開けたりしたそうだ。ちなみにその八百屋は今も続いている。

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