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三十八話 お題:抉る 縛り:一節、プロジェクト、選ぶ、フェリーボート

 同僚が前の職場で働いていた時に体験した話である。彼は当時難航していたプロジェクトを何とか成功させ、会社からご褒美のような形でまとまった休みをもらった。

「もうずいぶんまともに休んだ記憶がなかったからさ、まぁゆっくり旅行でもしてこようと思って」

 行き先は九州を選ぶことにしたという。フェリーボートで渡り、レンタカーで観光して回る計画を立て、いざ出発の日になった。

「俺結構酔いやすいからさ、フェリーとはいえ船だから酔わないかちょっと不安だったんだけど、流石に大きいだけあって全然揺れないんだな、心配して損したよ」

 無事九州に到着した彼はレンタカーの手配も問題なく済ませ、城や温泉といった気になっていた観光スポットを次々に回っていったという。旅行を満喫しているうちに夜になり、予約していたホテルにチェックインすると、彼は明日のことも考えて少し早めに床に就いた。深夜、ふと彼が目覚めると部屋の壁から何やら音がする。

「やたら下手くそな歌が聞こえてきたと思ったら、ガッツンガッツン音がしてさ。寝ぼけてて頭が働かなかったから、しばらくベッドの上でじっとしてたんだけど」

 次第に頭がはっきりしてくると、壁の方から聞こえてくる歌は炭坑節の一節だということがわかった。そのすぐ後に一際大きなガツンッ、という音がして大きなピッケルの先端が部屋の壁を貫いて飛び出してきた。

「即部屋から逃げてさ、フロントに言って警察を呼んでもらって、まぁ隣の部屋のやつはあっさり捕まったからよかったんだけど」

 その一件で一気に気分が盛り下がった彼は、九州旅行を切り上げて自分の家で休みの最後の日までダラダラと過ごしたという。

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