表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/302

三十話 お題:残業 縛り:竜脳、奠都

 主人が失踪した時のことを話そうと思います。主人は真面目な人で、仕事を休むどころか遅刻すらしないような人でした。ただ、失踪する前に何度も墨の香りがするんだが、どこからするんだろうと言っていたのを覚えています。同僚の方の話によると主人は残業中に突然会社を出ていったそうで、そこから全く連絡がつかなくなりました。警察に捜索願を出したのですが特に成果らしい成果もなく途方に暮れていたところ、私宛てに主人から小包が届きました。開けてみると中には主人の日記帳が入っており、主人が失踪してからのことが書かれていたのですが支離滅裂な内容が多く、辛うじて意味がわかるところをまとめると、自分は今インドネシアのスマトラ島にいる、スマトラ島に生えている古くて巨大な竜脳樹に呼ばれたため行くしかなかった、会社や家で墨の香りが何度もしたのはこの樹の香りが自分のところまで漂ってきたため、自分が呼ばれた理由は樹の退屈を慰める人間が必要だったから、樹は高さ100mほどにもなり会話もできる、会話は手で触れることで樹の意思が直接伝わってくる、話をしたところ恐らくこの樹はシュリーヴィジャヤ王国がパレンパンに奠都する更に前から生きているため樹齢は1500年を超えるかもしれない、日記は樹に仕えている現地の人達に頼みこんで送ってもらった、一生ここで暮らしていくしかないので、自分のことは忘れてどうか幸せになってほしい、といったことが書かれていました。すぐにこの日記を警察に持っていきましたが、海外での行方不明者の場合は力になれないと言われ、インドネシア政府に捜索を要請するため手を尽くしましたが、日記の内容が不明瞭なこともあり結局失敗に終わりました。ただ私としてはどうしても主人のことを諦めたくありません。この日記を手がかりにして現地で主人を探せるよう、今死にもの狂いでインドネシア語を勉強しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ