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二百八十八話 お題:腹腔 縛り:コロナ、諸氏
姉の話である。なんでも姉は人の性格を目で見ることができるのだそうだ。
「コロナってあるでしょう。太陽の周りの光。あんな感じで人の周りに光が見えるのよ。色が赤いと激しい性格、青いと落ち着いた性格みたいに色で性格がわかるんだけど、この間気持ち悪いことがあってね」
それが起きたのは姉の高校の卒業式だったという。姉は在校生として出席していたのだが、PTA会長の祝辞の際、
「こう、天使の輪っか、みたいな? 白く光る輪っかがPTA会長のところまで飛んでいって、お腹の中にスッて入ったの。そしたらさぁ」
PTA会長の光の色がどす黒く変化したのだそうだ。
「すごかったよ。最初に卒業生諸氏に呪いのメッセージを贈りますって言っちゃったからね。その後はもう罵詈雑言の嵐で、先生達が止めに入ったけど式の雰囲気最悪になったし」
なお姉にPTA会長を狂わせた光の輪の正体はなんなのだろう、と聞いてみたところ、
「別に知る必要ないでしょ。多分ああいうのって正体知ったところでどうしようもないし」
と一蹴された。




