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二百八十話 お題:番う 縛り:切羽詰まる、戦雲、レーゾンデートル、若木、X

 小学校の頃の同級生の家に遊びに行った時のことである。彼の家の縁側から庭を眺めていると、金木犀の若木に真っ赤な鳥が止まっているのを見つけた。彼に、あの鳥はずいぶん珍しい色だな、と言うと、

「あぁ、あれか。時々うちに来るんだよ。名前は……なんだったか。ど忘れしたが、中々面白い言い伝えのある鳥なんだよ」

 私がどんな言い伝えなんだ、と聞くと、

「なんでもあの鳥は、雄と雌が番うと戦雲を呼ぶとかで不吉な鳥扱いされてたんだが、ある種類の人間には幸運を呼ぶ鳥として好まれたんだ。さて、どんな人間が好んだと思う?」

 私は少し考えてから、わからないな、と言った。彼は得意げな顔になって、

「武器商人だよ。まぁ当然といえば当然だ。戦争が起これば起こるほど彼らはもうかるんだから。もっとも、鳥からしたらどう扱われようと迷惑なだけだろうけどな」

 私が、人間というのはつくづく身勝手だよ、と言うと、彼は、

「全くだ。人の生を喜ぶ人間もいれば、死を喜ぶ人間もいる。私には想像もできないが、武器を売ったり人を殺したりして生きている人間は何をレーゾンデートルにして生きてるんだろうね……あぁ、そうだ。君に頼みたいことがあったんだ。息子が雑誌の懸賞のクイズが解けないと泣きついてきてね。この怪盗Xからの挑戦状とかいうクイズなんだが、子供向けのクイズの割にはずいぶん手強くて、しかも締め切りが明日までらしい。すまないが、解くのを手伝ってくれないか? 息子ときたら切羽詰まるといつも僕を頼るから困ったもんだよ」

 口では困ったもんだよ、と言っておきながら顔がニヤけている彼を微笑ましく思いつつ、私はその怪盗Xからの挑戦状に挑むことにした。

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