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二百七十二話 お題:月見 縛り:なし
弟から聞いた話である。
「この間、女の子と結構いい感じになってさ。一緒に月を見てたんだけど、綺麗な満月だったから、カッコつけて月が綺麗ですねって言ったんだよ。そしたらさぁ」
女の子は、あんなのが綺麗っておかしいでしょ、と吐き捨てるように言ったという。
「いや、すっげぇ綺麗じゃんって言って月見たら、気持ち悪い模様が浮かんでてさ。目と口から血を流して笑ってる顔に見えるんだよ。さっきまでは綺麗だったんだよってフォローはしたんだけど、結局機嫌直らなくてさぁ。ほんと最悪だったわ」
私が弟に、月の模様のことは口実で元からお前嫌われてたんじゃないのか、と言ったところ弟が殴りかかってきたため、そのまま弟と殴り合いの喧嘩をした。なお喧嘩は私が勝った。




