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二百四十九話 お題:支度 縛り:なし
地元の友人から聞いた話である。
「この間家族旅行に行ったんだけど、カミさんがやたら支度に時間がかかって中々出発できなくてさ。それで息子二人と一緒に玄関で待ってたら」
待つのに飽きた彼の息子達は、母親を大声で何度も呼んだという。
「お母さん、遅いよ! 早く来て!」
「そうだよ、皆待ってるんだよ! 早くしてよ!」
「早くしないと、俺がついていくからな」
息子達はそろって一瞬固まった後、彼に、
「「今の声、誰?」」
と聞いてきた。
「もうしょうがないから、カミさん無理矢理引っ張ってきたよ。家族水入らずの旅行を台なしにされちゃたまらないからな」
彼は奥さんから散々文句を言われたものの、それ以外に目立ったトラブルはなかったそうだ。




