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二百四十七話 お題:燃え立つ、縛り:タイトルマッチ、圧迫

知人のボクサーの話である。彼は先日タイトルマッチに勝利し、見事日本バンタム級の王者になったのだが、彼に楽勝だったじゃないか、と言ったところ、

「そんな訳ないだろ。リングに入ってもプレッシャーで体がガチガチに固まっちまってて、まともに動けなかったんだから」

 と彼は言った。しかし私の印象としては試合は終始彼のペースで、むしろ相手の方が彼の気迫にのまれているように思えた。そのことを彼に伝えると、

「あぁ、まぁ確かに死にもの狂いではやってたよ。試合が始まる直前まで心臓が直接圧迫されてるような感じだったんだけど、トレーナーが緊張してるみたいだから緊張せずに戦えるようにしてやろうって言って、俺の首の後ろを指で思い切り押したんだよ。そしたら」

 目の前の対戦相手の姿が、全身を燃え盛る炎で覆った人型の怪物に変わったという。

「確かに緊張はしなかったよ。殺されなきゃ殺されるって本気で思ってたからな。相手が俺にのまれてるように見えたのは、それだけ俺が必死だったからだろうな」

 彼のタイトルマッチの事情を知った私は、彼を少しでも労おうと空いた彼のグラスにビールをなみなみと注いだ。

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