二百二十話 お題:沙汰 縛り:フロッピーディスク、他見
男友達の話である。彼はパソコンのパーツショップで働いているのだが、ある時不審な男が店に来たのだという。
「ボロボロでサイズの合ってない服着てて、しかも帽子で顔隠しててさ。こいつちょっとやばくないかって思ってたら」
その男は彼にパソコンのパーツを買い取ってほしい、と言ってきたそうだ。
「うちでは買い取りもやってるからどんなパーツですかって聞いたら、外付けのフロッピーディスクドライブ出してきてさ。またすごいもん持ってきたなと思ったよ」
彼がうちではそれは買い取れません、と言うと、男はフロッピーディスクドライブを強引に彼に押しつけて逃げたという。
「逃げられちゃった以上しょうがないから、とりあえずそのフロッピーディスクドライブを調べてみたらフロッピーが中に入ったままだったんだよ」
そのフロッピーはラベルに他見厳禁と書かれており、気になった彼は自分のパソコンを使って中身を見てみたそうだ。
「中にはヤマって名前のプログラムしか入ってなくてさ。ウィルスの可能性も考えたんだけど、その時使ってたのサブPCだったし、最悪感染してもいいかと思って実行してみたら」
画面全体に、彼が今までにしてきた悪いことが表示されたのだという。
「小学校の頃にした万引きのことまで書いてあってさぁ。それと気になったのが、悪いことの隣に一々サンジーヴァ? とかカーラスートラ? とか書いてあったんだけど、お前なんのことかわかるか?」
私は少し躊躇ってから、多分お前が行くことになる地獄の名前だよ、と彼に伝えた。




