表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
189/302

百八十八話 お題:長辺 縛り:芋名月、繰り上げる、散発

 父から聞いた話である。父は野菜作りが趣味なのだが、以前から猪による被害が散発していたため、ある時重い腰を上げて猪対策をすることにしたそうだ。

「最初は十月くらいにやろうかなと思ってたんだが、九月の中頃に暇ができたから、予定を繰り上げることにしたんだ。確かちょうど芋名月の日だったかな」

 父は畑の周りに猪除けのトタンを手際よく立てていった。父の畑は長方形の形をしており、その長辺にあたるところにトタンを立てている時にそれは起きたという。

「バキンバキンっていう何かが割れるような音がすぐ側でしたんだ。なんだと思って音のした方を見たら」

 父のすぐ側で、毛むくじゃらの何かがトタンを齧っていた。何かは父の視線に気づいたらしく、父に巨大な口以外何もついていない顔を向けると、老人のような声で、

「もっと」

 と言った。父はほとんど無意識のうちにその場から逃げ出し、気づいた時には家の中にいたという。

「猪の対策ならできるんだが、あれはなぁ……とは言ってもいつまでも畑を放っておくわけにもいかないし、うーん……」

 そう言うと父は両手で頭を抱え、何も言わなくなってしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ