表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
178/302

百七十七話 お題:ワルツ 縛り:食い散らす

 社交ダンス教室で知り合った女性の話である。私は彼女と何度かペアでワルツを踊ったのだが、彼女はあまりステップが上手ではなく、結構な回数足を踏まれた。それに対するお詫びということで昼食に誘われたので、一緒に昼食を食べたところ、

「私、食べ方がすごいんです。驚かないでくださいね」

 彼女はそう前置きをしてから、そのすごい食べ方を披露してくれた。ビュッフェ形式の店だったのだが、彼女は明らかに食べ切れないと思われる量の料理を持ってきては、それらを食べては残し、食べては残し、という食い散らすという言葉そのものの食べ方をした。私がさすがに行儀が悪いでしょう、と彼女に言うと、

「そうですよね……でも事情があって」

 彼女はそう言うと、皿に残っていた料理を自分のハンドバッグの中に入れ始めた。私は慌てて止めようとしたが、ハンドバッグの中から何かが料理を咀嚼している音が聞こえてきたため、その場で固まってしまった。

「ペット、なんです。すっごくワガママなんです、この子。とにかく色んなものを食べさせないと駄目だし、私が一度口をつけないと警戒して食べてくれないんです。ほんともう困っちゃって」

 私は辛うじて笑顔を作り、残り物を片づけるのによさそうですね、と言った。それを聞いた彼女は目を輝かせて、

「そうなんです、ちゃんと役に立つこともあるんですよ!」

 と言った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ