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百七十六話 お題:性差 縛り:動力、発会、屈託、スラッガー

 近所の女の子の話である。彼女は生まれつき異常なほど運動神経がよかった。彼女は小学三年生の時にリトルリーグに入り、エース兼スラッガーとして活躍した。体格にも恵まれた彼女は中学、高校と野球を続け、将来女性プロ野球選手になるんだといつも屈託なく笑っていた。そんな彼女は周囲からも応援され、彼女を女性プロ野球選手にするための後援会が発会するほどだった。しかし、彼女はチームメイトからは応援されなかった。それどころか常に嫌がらせを受けていたという。年齢が上がるにつれ、嫌がらせのひどさも増していったそうなのだが、それでも彼女は負けることなく、いつも屈託なく笑っていた。だがある日限界が来た。彼女は肘を故障し、ボールが投げられなくなった。チームメイト達はそれを聞いて彼女のことを散々馬鹿にしたという。彼女はいつも浮かべている屈託のない笑顔のまま、チームメイト達の頭をバットで割っていったそうだ。彼女はそれ以降まるで動力が切れたかのように一切のものに興味を示さなくなり、家に閉じこもっていつまでも一人笑うだけになってしまったという。

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