表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
159/302

百五十八話 お題:ブランド 縛り:働く、子息、薄目、片鱗、明滅

 知人の女性の話である。彼女はブランド品に目がなく、給料でブランド品を買うために働くのだと公言していた。そんな彼女だが結婚して子息が産まれ、少しはブランド品に対する情熱が薄れるかと思ったのだが全くそんなことはなく、むしろ情熱は増す一方だった。

「私の影響だと思うんだけど、最近息子までブランド好きの片鱗を見せてるのよ。服とか玩具とかもっといいやつが欲しい! もっといいやつが欲しい! ってほんと困っちゃう」

 その時は彼女は笑い話のように話していたのだが、ある日笑えないことが起きたという。

「……夜中に急に目が覚めたの。電気が調子悪いみたいでチカチカしてて、そのせいかもしれない。それで、薄目開けて枕元見たら、息子がハサミ握って立っててね」

 彼女が息子に何してるの、と聞くと、息子は、

「お母さんが死んじゃえばもっといいお母さんに取り換えられると思ったの」

 と答えた。明滅する部屋の電灯に照らされた顔には何の表情も浮かんでいなかった。

「その瞬間にブランド品全部捨てようって決意したの。それでどんなことをしてでも息子を普通の子にしなくちゃいけないと思って」

 彼女は会社を辞めて専業主婦になり、息子にできる限りの愛情を注いだ。彼女の息子は今、悪戯好きだが友達の多い明るい子になっているという。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ