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百五十話 お題:内部 縛り:弘法、 幔幕、続編、兆す

 親戚の男性の話である。彼は歴史ものに目がなく、お気に入りの時代小説の続編が出るのをいつも心待ちにしているような男なのだが、桜の新芽が兆す頃、素晴らしいものを手に入れたから是非見に来てほしい、と言われたため家を訪ねてみることにした。

「よく来てくれたね、さぁ見てくれ、これなんだけれども」

 それはお寺にかけられているような五色の幔幕で、なんでも弘法大師が直々に名前を書いたものなのだという。

「友達から借金の担保として預かっていたものなんだが、借金を返せなくなったと言ってきたんでそのままもらったんだ。最初は本物かどうか疑っていたんだが幔幕に書かれた字を見た瞬間に疑いは吹き飛んでしまったよ。流石弘法にも筆の誤りと諺になるだけのことはある」

 正直私はその幔幕が本物だとは思えなかったのだが、部屋に幔幕を張り巡らせて悦に入る彼にそんなことは言えず、その日は適当に話をして退散した。それから一月ほどして、突然彼が亡くなったと連絡が入った。なんでも幔幕 を部屋に張り巡らせてから日に日に彼の体調は悪くなっていったそうで、病院で検査をしたところ体内のあちこちに異物が見つかり、手術で可能な限り除去したものの既に手遅れだったという。なおその異物というのは骨でできた小さな仏像だったそうだ。

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