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百四十六話 お題:総身 縛り:磁化、溶炉、戦場、学説

 私が所属している大学の研究室の教授から聞いた話である。なんでも昔この大学にはとんでもない助教授がいたのだという。

「金属についてずいぶん色々研究してたみたいだけど、研究にのめりこみすぎたんだろうねぇ。おかしくなっちゃって、こんな革命的な学説はない! とか言いながら自分の妄想を垂れ流してたんだ」

 その助教授の考えによれば、鉄を磁石の側に置くと磁化するように、ある種の金属を人の側に置くと人の感情がその金属に影響を及ぼし、性質を変化させるのだそうだ。

「もちろんそんなこと誰も信じやしない。でも彼は中々すごくてね。彼の言う人の感情によって性質が変わる金属を実際に作ったんだよ。しかもそれを持って外国の戦場に何度も行ったんだってさ」

 どうしてわざわざ外国の戦場に行ったんでしょうか、と聞くと、

「さぁねぇ、よくわからないけど、やっぱり感情が強い方が変化が大きいとかじゃないの? そうだとしたら戦場っていうのは多分この世で一番人の感情が強くなるところだからねぇ。でも彼はある日いきなりその戦場に持っていってた金属を溶炉で溶かしちゃって、直後に死んじゃったんだ」

 どうして亡くなったんですか、と聞くと、

「窒息死だったみたいだねぇ。彼が溶かした金属が彼の体を服ごとメッキみたいに綺麗に覆って、口も鼻も塞いでたらしいから。でも火傷とか服が燃えたりとかは一切なかったみたいなんだよなぁ。僕は今でも彼の考えは信じてないけどね。ただ彼の身に起こったことを説明できるかって言われると困っちゃうんだよ」

 なお教授から、

「彼の作った金属ね、実はこっそり大学が保管してるんだけど見たい?」

 と聞かれたので、考えておきますと答えておいた。

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