表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
137/302

百三十六話 お題:ペナルティー 縛り:割合

 行きつけのバーのマスターから聞いた話である。彼は先代のマスターの下で修業し、この店を受け継いだそうなのだが、その先代のマスターの指導が半端なく厳しかったのだそうだ。

「先代はカクテルを作る時のお酒の割合に病的なこだわりがありましてね。理想の割合と実際の割合がほんの一滴でも違えば味が台なしになると言って、それはもう厳しく教えられました」

 そう言うとマスターは来ていたシャツの袖をまくり、腕を私に見せた。腕にはびっしりと点が並んでおり、皮膚病の跡ですかと私が聞くとマスターは、

「これらは全て先代につけられたんですよ。カクテルの配合を間違える度に焼いた針で私の腕を刺したんです」

 と言った。私は驚き、どうして逃げなかったんですかと聞いた。するとマスターは、

「それだけ先代の作るカクテルが素晴らしかったからですよ。焼いた針で腕を刺される痛みは本当に辛いものでしたが、それでも私は先代のカクテルを自分のものにしたかった。その一念で、ずっと苦しみに耐えたんです」

 正直に言ってしまうと、その話を聞いて私はマスターが実はとんでもないマゾヒストではないかと疑ってしまった。すまない、マスター。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ