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百三十話 お題:蕗の薹 縛り:換物、歳時記、ボイルド、力強い

 親戚に地主がいるのだが、どうやらかなりまずいことをしているらしい。彼は資産が現金だけでは不安だから、という理由で金を土地に換物して地主になったのだが、買った土地の中にとある山が含まれていた。その山は自然が豊かでキノコや山菜が豊富に採れ、特に蕗の薹が素晴らしいのだという。

「天ぷらも煮物もいいけど、俺くらいになるともうボイルド蕗の薹だよ。塩茹でしただけのやつを食べる。これが最高」

 彼は毎年蕗の薹を採って食べるのを楽しみにしていたのだが、非常に美味しいだけあって彼が採ろうとした時には他の人に採られているということが多々あった。

「そりゃあ山菜取りは歳時記に載せたっていいくらいメジャーな春の行事だけどさ。やるんなら俺の山じゃなくて別の山でやってほしいんだ。それで警告のために看板立てたんだけど全然効果がないから、こうなったら罠をしかけようと思って」

 彼は山の中に法律で禁止されているトラバサミをしかけて回ったのだという。私が恐る恐るかかった人はいるのか、と聞くと、

「あぁ、いたいた。見に行った時はまだ生きててさ。殺して山の中に埋めたよ。もしかしたらバレるかと思ったけど、全然そんなことなくってさ。まぁ人の山に勝手に入って蕗の薹採るようなやつは殺されたって仕方がないってことだよな。俺の蕗の薹を採るやつは皆死ねばいいんだ」

 私がもうお暇する、と彼に言うと、

「おっ、そうか。それじゃあこれ持っていけよ。俺の山の蕗の薹で作った蕗味噌、ほんと信じられないくらい美味いよ」

 彼は力強い声でそう言った。

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