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百十九話 お題:授産所 縛り:二股、椹

 父から聞いた話である。父は若い頃お金がなく、よく授産所で仕事を紹介してもらっていたそうなのだが、ある時明らかに怪しい仕事を紹介されたという。

「仕事内容は軽作業ってなってたんだが、給料が他の仕事の十倍以上でな。授産所の人も怪しんでたけど、騙されたところでこれ以上悪くなることもないかと思って応募したんだよ」

 応募した結果父は採用された。仕事は工場で椹の木を加工して先が二股に分かれた奇妙な形の杭を作るというものだった。

「杭の作り方を教えてくれた人にこれは何に使われるんですかって聞いたら、金持ちが道楽で飼っている子供にこれを突き刺して遊ぶんだ、って言われたんだ。最初は冗談だと思ったが、そもそもまともな使い道があるようなものではないし、段々本当にそうかもしれないと思うようになった。それでも仕事は辞めなかった。辞めるには給料がよすぎたし、他の人も別に辞めようとしなかったからな」

 父はその仕事でまとまったお金を得たことで生活苦を脱し、安定した生活を送れるようになったという。しかし今でも時々、自分の作った杭を突き刺されて苦しむ子供達の夢を見るそうだ。

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