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百十一話 お題:筆致 縛り:断頭台、落掌、中休み
知人の女性から聞いた話である。彼女はお菓子メーカーの事務として働いているのだが、ある日、仕事の中休みの時に会社に彼女宛の荷物が届いたという。落掌して中を確認したところ、一枚の絵が入っていた。
「すごく不気味なタッチの断頭台の絵でね。送り主がわからないから気持ち悪かったけど、私怖いものって結構好きだからさ。その絵のことも気に入っちゃって、家に飾ることにしたのよ」
その絵を家に飾ったところ、悪いことは彼女には起こらなかった。起こったのは、
「ほんとにすごいのよ。絵を飾ってから私の嫌いな人達がどんどん死んでくれるの。しかも皆上手い具合に首が飛んで死ぬのよ。誰だかわからないけど、最高の贈り物をしてくれて、是非お礼を言いたいくらい」
なんとか彼女に嫌われずに彼女との関係を絶たなければならない。そうしなければ私の命は恐らく長くない。