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百七話 お題:リベロ 縛り:番、モデルガン、話半分、補説、ピンぼけ

 男友達の話である。彼は大のサッカーファンで、好きなリベロの選手の写真を撮るためわざわざ高価なカメラを買ったほどなのだが、撮る写真が結構な割合でピンぼけしており、仲間内でからかいの種にされていた。私も冗談でカメラの使い方が間違ってるんじゃないか、と言ったのだが、彼はカメラの説明書は補説までちゃんと読んだと言い、加えて妙なことを言い出した。

「おかしくないか。ピンぼけの仕方がさ。人しかぼけてないだろ」

 言われてみると確かに彼の撮った写真で風景がぼけているものは一枚もなく、どれも人が写っているところを意図的に加工したようになっていた。彼は更に、

「ピンぼけで写った人に悪いことが起きてる気がするんだよなぁ。あと多分ピンぼけのひどさと起きる悪いことのひどさが比例してると思うんだ」

 と続けた。私も含めた彼の友人達は話半分に聞き、ちょっと気味が悪いが、あまり気にしすぎるなと彼に言ってその話は終わった。それからしばらくして彼から電話があり、何の用だと聞くと、

「……俺の考えは正しかったよ」

 そう言って、彼は話し始めた。なんでも彼は今一番応援している選手の写真を撮るためにサッカー観戦に行き、無事写真を撮ることはできたのだが、撮った写真を確認すると選手が人かどうかもわからないほどぼけて写っていたのだという。

「お前らにも気にしすぎるなって言われたから、偶然だ、偶然だって思ってたんだけど、でも今日のニュース見たら、その選手が撃たれて死んだって……」

 ニュースによると、その選手は握手会の際に撃たれたという。犯人は自分の番の時に懐からモデルガンを出し、選手を撃つふりをして脅かすつもりだった、と証言したそうだ。

「俺さ……もう写真、撮らないことにするよ」

 その言葉通り、彼はそれから一切写真を撮らなくなり、せっかく買ったカメラも捨ててしまった。なお選手を撃った犯人は今も、誰かにモデルガンを本物とすりかえられたのだと言い続けているそうだ。

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