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百三話 お題:薄ら 縛り:当たり狂言、鳥肌

 知人の狂言師から聞いた話である。彼は端正な顔立ちと卓越した演技で出演する狂言がどれも当たり狂言になるほどの人気なのだが、ある時鬼の役を演じることになり、役を掴もうと稽古に励んだもののどうも上手くいかなかったという。

「実は僕は人の守護霊ってやつが見えてね。どんな人でも最低一人は後ろに薄ら見えるもんさ。それこそ大昔の人が守護霊になってることもよくあるから、そういう守護霊さんの立ち居振る舞いを見て役作りに活かしてきたんだが、今度のは鬼だろう? 流石に人じゃないと厳しいなぁと思ってたんだが、いや、世の中はやっぱり広い。いたんだよ。鬼を後ろにくっつけてる人が」

 その人は劇場の観客席にいたという。ある日の公演で彼の出番となり、舞台に上がった瞬間にそれは彼の目に飛びこんできた。

「あっ、鬼だ、って一目でわかったんだよ。頭から二本角が生えてて、肌がやけに赤黒くてね。顔つきはどちらかというと滑稽な感じだったんだが、全体の雰囲気はなんとも言えず不気味でね。僕が演じたい鬼はこれだ! って思わず鳥肌が立ったよ」

 このことがきっかけで完全に鬼の役を掴んだ彼は、本番の舞台でも見事に鬼を演じ切り、公演は大成功に終わった。なお守護霊が鬼の人はしょっちゅう舞台を観に来てくれるらしく、彼は大変ありがたく思っているという。

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