表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/302

九十九話 お題:ファーマシー 縛り:枝毛、申し訳ない、血祭り、社会通念、北辰

 知人の女性の話である。彼女は薬剤師で薬局に勤めているのだが、ある日すごい客が来たのだという。

「とにかく不健康そうな見た目の女の人でね。肌はボロボロだし、髪は全部枝毛じゃないかってくらいパッサパサで、おまけに目は血走ってるし。正直怖かったよ」

 その女性は言っていることも支離滅裂だったのだが、辛うじて健康になりたいことはわかった。結局大量のサプリメントを買ってその日は帰っていったそうだ。

「まぁそれから毎日来るようになったんだけどね。ずいぶんトラブルも起こしてくれて、ほんと社会通念とか一切ないって感じ。私も、この薬全然効かない! 責任を取れ! 取らないのならお前を血祭りに上げてやる! とか言われたし。文句ならサプリ作った会社に言ってくれって話よ」

 彼女だけでなく薬局で働く人間は皆その女性のことで頭を痛めていたのだが、ある時変化が起きた。

「突然その女の人の肌が綺麗になり始めたの。あと髪も。目の色もどんどん普通になっていってね。おまけにびっくりしたのが、言うこともまともになって――あ、ごめん、そうでもなかったわ」

 なんでもその女性は北辰の菩薩様とやらを信仰する宗教団体に入信したらしく、体調がよくなったのもその菩薩様のご利益だ、ということだった。

「今まで散々無礼なことをして本当に申し訳ないって頭下げられてさ。こっちとしては肩すかしというか、なんか気が抜けちゃってね。まぁ大人しくなってくれたからよかったんだけど。にしてもあの変わり方はやっぱり異常なんだよねぇ。その宗教団体とやらが何かしたのかなぁ」

 もっとも、彼女はそのことを解明する気は全くないそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ