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叫べ  作者: 狩野真奈美
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ギリギリ間に合った入学式は滞りなく終わった。入試のトップの人間が述べる挨拶にみんな目が爛々としていて、気持ち悪い。そんなにそこに立ちたかったのか。興味津々で眺める彼らと三年間を共にすると考えると億劫だ。クラスは1年3組だった。7組だったら式の開始までに座席にたどりつけないところだった。そして、伊藤という名字に感謝したい。伊藤静。時々、名前だけで男に間違えられることがある。それでもブスでもおばあちゃんでも使える名前を授けてくれた親には心底感謝したい。

式典会場である体育館前にに貼り出された名簿には同じ中学校の生徒がちらほらいたが、とりたてて仲がよかったわけではない。顔は知っているという程度である。そもそも学祭や地域への活動などに恐ろしくやる気を出さずにいた私は中学校では評判が悪かった。というか、嫌われていたのだろう。朝の会は遅刻が安定だったし、部活動は幽霊部員。ちなみに家庭部。テストの成績がよかったが、内申書はあまりよくなかったのではないだろうか。不良というほどのこともせず、授業は真面目に聞いていた。ただ勉強以外に特にがんばろうという意志がみられなかったのだろう。休み時間は図書館で本を読んでいた。友達といえば、一人だけ同じく無気力な子がいたが残念ながら美術科のある高校へと行ってしまった。それは着いていけないわけで。ということで、高校生活の始まる前からぼっちが確定しているわけで。同じくらい無気力な子に、運良く出会えるかどうか。出会えなければ図書館の住人として読書生活を謳歌しようではないか、という心構えである。

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