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叫べ  作者: 狩野真奈美
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桜が舞い散る川沿いの道を自転車で急ぐ。今日から高校生だというのに気分が全く晴れないのは制服が野暮ったいからだろうか。そこまで可愛いものなど求めてはいないが、これはないだろうと思う。じゃあなんでこの高校を選んだのかというと田舎では公立高校が本命なのが当たり前であり、私の偏差値ではこの高校が妥当であると判断されたからだ。どうせなら、家から一番近い偏差値が最低ランクの高校に通いたいが周りからの圧力に逆らう気力もない。あの高校の方が制服、可愛かったのにな。そんな私のやる気のなさが無意識に表れたのか、入学式だというのにこのままでは遅刻するかもしれない。まあいいや、とのんびり桜を眺めながら自転車を漕ぐには私は真面目すぎる。本当につくづく自分が疎ましい。家庭によっては伝統ある田舎の進学校(笑)の入学を祝い親が式に来るところもあるらしいが、私の家庭から誰かが来ることもない。来なくても送迎だけはしてほしかったが、親は仕事である。入試の時から倍率1.00に安心しきっていた親が心配することはなかった。田舎の風習。出願前に中学校の教師の間何名受験するかという情報提供の末、人気のある高校以外は恐ろしく安定した倍率である。緊張感も何もあったもんじゃない。こんな田舎では、高校生になれば何かが変わるとも思えない。きっとほとんどの生徒が校則を守り、きっと中学の頃と変わらない一部の派手めな子達が色恋沙汰できゃっきゃうふふしているだけだ。顔ぶれが変わるだけで、私の環境は、何も、変わらない。

舞い散る桜を自転車の車輪で踏みつけながら、そんなことを考えていた。

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