第二パーティ 一
先に飛んだフィアレスを追うようにして上階の部屋にアレストが現れた。アレストは周囲を見回すと。
「ん、アイルは? 姿が見えないが」
「知らん」
アレストの疑問に、フィアレスはそれだけ言い捨てると歩きだした。
「あ、おい待てよ! どういうことだ?」
アレストがそう言いながらフィアレスを追いかけて段差からおりたその時、シフが飛んで来た。
「お前達二人だけ、か」
「シフ!」
アレストが振り返って説明を求めるようにその名を大声で呼んだ。
「私で最後だ。取りあえず、行こう」
「――どうなっているんだ?」
石造りの回廊らしき場所をフィアレスに続いて歩きながら、アレストがシフに尋ねる。
「あの術法陣、仕かけ付きのようだ」
「え?」
「多分、他の連中は別の場所に飛んでる」
シフの言葉にアレストは納得したようにつぶやいた。
「そうだったのか……と、お客さんだ」
二本足で歩く恐竜のようなモンスターが咆哮をあげて現れた。真っ先に飛び出したフィアレスの剣は的確に相手の急所を切り裂いていく。
「いい腕だな。次、連携攻撃とかやってみないか?」
「断る」
アレストの提案にフィアレスは即答だ。
「つれないな、効率良いと思うんだが……」
「それでよくアイル達と同行してたな」
シフの言葉に、アレストも同意した。
「そう言えば、そうだな」
「借りがあったからだ」
「へぇ」
「案外、律儀だね。もう少し、肩の力抜きなよ、私達は敵じゃないんだからさ」
武器を振るいながらの笑みを含んだシフの言葉に、フィアレスは少し迷惑そうな視線を向ける。
「余計な世話だ」
「そうかい」
シフは気にしていない様子で答えた。
モンスターを倒した後、アレストは少し視線を落としてシフに言った。
「あいつらも上手くやってるかな」
「多分、大丈夫だろう」