表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/39

第一パーティ 一

 転移陣に飛び込むと、光と共に、入った時と似たような部屋に出た。一瞬転移に失敗したのかとも思ったが、窓から見える景色からして、先程よりも上の階だ。こちら側の床には陣がなく、やはり一方通行らしい。

 顔を上げて辺りを見渡したが、先に陣に入った筈の、フィアレスの姿は見当たらなかった。フィアレスが踏み込んでから、私が飛び込むまでに十秒も間はあいていない筈だから、流石に待たずに先に行ってしまったのではなく、予想していた通り、転移先がバラけてしまったのだろう。ちなみに転移先ポイントに誰かいると、普通は転移出来ないように設定されている筈だ。

「さて……どうなるかな」

 私は少し胸の高鳴りを感じつつ、床の一段高くなっている転移先ポイントからおりて、自分が出て来た場所を見つめながら待っていると、やがて誰か飛んで来た。見慣れたその姿に、気さくに声をかける。

「や、レック」

「あんただけか?」

「今の所。――やっぱランダムか」

 そう私が確認を取るとレックも同意した。

「だろ」

「他に誰か来るかな」

「多分」

 レックがひょいと段差から飛びおりると、再び誰かが飛んで来た。その小さな人影、レイナは不思議そうな表情を見せて私とレックに訊いた。

「……二人だけ?」

「うん、多分他の人は別の場所に飛んだと思う。あれ、転移先が一つじゃなかったんだ」

「変わった術法陣ね……」

「そうだね」

 ゲームで見ていたから完全に実力とは言えないが、一応、宇宙の術法士でもある、ガイの弟子だから、転移陣の勉強もしたのだ。流石に自分で作ることは未だ出来ないけれど。

 レックがレイナに尋ねる。

「あんたで最後か?」

「シフ……さんが未だいたけど。そういうことなら違う場所に飛んだのかも知れないわ」

 レイナは何かを遠慮するかのように呼び方に迷った様子の後、シフをさんづけで呼んだ。宮廷術法士の一番弟子だと言うのと関係あるのか、シフ本人によるものなのかは解らなかったけれど。レイナの目には、シフの術法力は他の人とは違うものに視えているのかも知れない。

「そっか。でも何でシフのこと遠慮したみたいにさんづけで呼んだの?」

 そう訊いてみると、レイナは小首を傾げながら答えた。

「よく解らないけど、不思議な光が視えるからかも知れないわ」

「そうなんだ。――じゃあ少し待ってみて、誰も来ないようなら先に行こうか。上に向かえば多分皆とも会えると思うし」

 そう私が提案すると、レイナはうなずいた。

「うん」

「しかし何つーか、『術法士だけで攻略!』ってカンジだなこのメンツ。正しくは術法戦士だけどさ」

 レックがぼやくように頭に手をやりながら言う。私はレックを横目で睨んで突っ込みを入れた。

「文句言わない。得意でしょーが」

「操作するのはな……」

「え? 何のこと?」

 レイナが疑問符を浮かべていたので、私は軽く手を振って内輪の会話を打ち切った。

「あぁ、気にしなくていいから」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ