5 ストーリー
固有名詞は固有名詞なので突っ込まないで頂くと有り難い。
いつもご愛読ありがとうございます。
ゴゴ......
重い石造りの扉を開く。
ガヤガヤ・・・・
開いてみると中は、上の階では張りつめた空気で黙って酒を飲んでいる連中と下の階で酒を浴びながら楽しそうにはしゃいでいる連中とに分かれていた。
すると、扉の近くにいたショートソード、スモールシールドに軽装備の男がこちらに気付いて話しかけてきた。
「おお、魔族のアンちゃん!!アンちゃんも剣士になりに来たのかい?」
魔族、とは多分自分のことなんだろうミイラの種族はどちらと言えばアンデッド族なのだが大きくまとめてしまえば確かに魔族っぽいので一応の理解と共に男に頷く。
「ああ、受付は何処なんだ?案内してくれないか?」
「へへ、おいらもひよっこなんだけど、後輩の頼みだ!まかせろやい!」
そういいながら男はこちらにエールの入ったジョッキを渡してきた。
多分、歓迎の意を込めてるんだろうがこちらとしては酒等はあまり飲まないようにしているので断っておく
「すまないが、酒の類は飲まないようにしてるんだ。」
「え~、冷めるな~。歓迎の証だったのに...」
ぶ~たれる男に申し訳ないと思ったのでこちらから手を出し、男の手を握る。
「すまないな、そして歓迎してくれてありがとう。」
「ニシシ、おうよ!」
男もこちらの態度に気を良くしてくれて件の受付まっで連れて行ってくれる。
男は、受付にいた女性の係員に猫なで声で挨拶する。
「ジュリアちゃ~ん♪、こんにちわ~」
「あれ、マイクさんどうしたんですか?」
受付の女性は、可愛らしく剣術ギルドの人の多くが彼女を狙っていそうだった。
「あ~っと、入隊員連れてきた~。」
「ああ、成程。後ろの方がそうなんですね。」
「そそ、手続き頼むわ。」
「分かりました。」
マイクが紹介してくれたのに合わせて前に出て挨拶をしておく。
「どうも、ビシャ・モンテンだ。」
「はい、私はジュリア・ガーデンです。」
「で、おいらがマイク・アンダーソンだよ。」
ジュリアとマイクはどちらも人族で、驚くことにジュリア自身も剣士なんだそうだ。
「では、ここにお名前記入下のち、種族をお書きください。」
「質問なんだが、私はミイラという種族だからミイラと書けばいいのか?それとも魔族と書くべきだろうか?」
「どちらでも結構ですよ。」
「了解した。」
言われた通り、名前と種族を書いておいた。
「次に、実技の試験を行いますので私についてきてください。」
「ああ。」
マイクは来ないようなので、行ってくると手をあげてジュリアの後ろを追っていく。
ギルドの裏ぐちの向こうは広い敷地になっており、剣術士と思われる人々が切磋琢磨していた。
その雰囲気に呑まれてか体の内側からゾワッとした闘争心が溢れる。
そんな自分を見てジュリアはフフフと笑いながらここのことを教えてくれる。
「ここはギルドの修練場でギルド員ならだれでも使うことのできる施設です。たまに決闘とかでも使われたりするから立ち退きとかもありますけどね。初心者なら、熟練者の動きをよく見ることをお薦めします。」
修練ができるなら今からでもしたいと思ったが、それを抑えてジュリアに話を聞く。
「で、自分はこれから一体何をさせられるのか?」
「軽い適性審査です。私と戦ってある程度の技能が出せればいいですよ。。」
なるほど、わかりやすい。
確かに素人丸出しな行動するやつを入れたりはしたくはないだろうな。
と、はなしていると修練場の片隅にある倉庫のような所に連れていかれた。
「ここから好きな武器を取ってください。それを仮の武器として戦ってもらいます。」
すべての武器の刃が潰されている。
訓練用のモノなんだろうな
「なら、これで。」
即座に武器の突き刺さった所からお目当てのものを取る。
あったことに意外感を感じながらも埃がぶったソレを握ってみると随分と懐かしく感じる感触が伝わる。
「....木刀ですか。壊れた時点で負けになりますよ、鉄の剣でなくていいんですか?」
「あいにくと...」
木刀を軽く振って、重量の誤差を目安程度で理解する。
「これの方がやりやすいんでね。」
そう言うとジュリアの表情が剣士としての感心した顔つきになる
流石は女と言っても剣術ギルドの受付、それなりの雰囲気を漂わせるな。
「それなら、大丈夫ですね。さて、行きましょうか。」
ジュリアがそうやって大丈夫と言ったのはギルドに入れることか、それとも木刀を扱えることなのか。
漠然と前者のように俺には聞こえた。
広く開けられたスペース
多分ここが試験の場なんだろう、修練場の人の何人かが冷やかしに観戦してきた。
「では、ルールを説明します。これから5分間、私から有効打を一本取れるか、制限時間内まで逃げ切れるか。そのどちらかが達成できれば貴方の剣術ギルド入隊を認めます。もちろん手加減をしますのでご安心を。」
「ああ、分かった。」
高校まで剣道部だったからか、このような手合いは好物だ。
剣道自体は好きではないが、剣道を無性にやりたくなるくらいには剣ないしは一対一の真剣勝負が好きなんだ。特に強い者ほど張り合える、虚勢があるから燃えるんだ。
「では、開始します。」
と同時にダッシュでこちらに向かってくるジュリア
「は...!?」
ダンッ!!、と爆発するかのように土煙舞い散らせながらこちらに迫る!
人間の体の構造を無視した、超人的速度で突っ込んでくることに焦りながらも泰然と構える。
そして一見の間に近距離まで攻め入ってきたジュリアが兜割の要領でこちらに仕掛ける。
「“バーチカル”!!!」
見え見えの攻撃動作に俺は、兜割を決め込むジュリアの方へと流れるように入りこみ、逸らすようにいなす...。
「っつ....!?」
が、ジュリアの剣には凄まじい速度とハンマーのような圧力があり、いなす形から体をジュリアの剣から避けるように捩じる。
ドゴン!!!!!
ッッッ!
予想外な攻撃力に、追撃を避けるために距離を置こうとするが、あちら側の方がスピードが段違いに速いために逃げられない。
まじで人なのかよ、化けもんだろ。
救いがあるのかないのか攻撃動作で何処に攻撃するかは見え見えなので対処はできるが、身体能力の差か防戦一方になる。
それを見て、ジュリアは笑みを深めながら、なお速度を上げる
「いい動きです。それなら剣術ギルドへの参加もできます。もう少し粘ってください。」
「なめるな、最後までやらせろ。」
おい、俺よ。どこから湧いてくるその余裕!!
ハッキリ言ってこんなゴリラ女(可愛い)ヤバいのに!?
ジュリアはフフと楽しげに笑った。
「ええ、よろしいでしょう。」
圧倒的な手勢で攻めてくる相手は、速度も力も上だ。
だが、相手の速度に体が慣れてきた。
相手のスタイルはセンス・オブ・センス。
要は超人的な身体能力と野性的に洗練された剣術体型。
偶に剣道界でも身体能力がすぐれている奴はいるから対処法は分かる。
「どうしたんですか、守ってばかりじゃ案山子と変わりないですよ。“ソードダンス”」
踊るような剣舞と無尽蔵の体力で攻め立ててくるジュリア。
....多分、五分五分の勝負になる。
相手が動くか動かないかではなく、俺が相手をどう調理できるかだからだ。
相手のことを知り、己を知ること。
さぁ、やってやろう!!
勝つ条件は有効打一本。
これほど俺にとって有利なことはない。
ジュリアの攻撃を間合いをずらして躱しながら相手を翻弄する。
「風のように躱しますね、見事です。」
褒められるのは光栄だが、こちらには喋っている暇もないため返礼は刃で返す。
シュッッッ!!!
丁度良いぐらいに間隙を突いた攻撃となり首筋に襲い掛かる。
しかし、ジュリアはそれを人間の反射神経とは思えない動きで避けて、後ろに跳んだ。
「人間じゃねぇ、楽しい...。」
相手から距離を取らせた、ここからが勝負の分かれ目だ。
相手ときちんと刃線を合わせる、基準を取る仕種の一つだ。
そして、こちらからは何もしないという風に腰を落ち着かせているように見せかけるとジュリアはさっきと同じくダッシュしてくる。予想通りだ。
初手と同じ動作で振り上げてくるジュリア
同じ動作で“バーチカル”が...
「“スラント”!!!」
ここに来ての技の入れ替え。
俺には避けられないと思ったのだろう勝利を確信して、にやり、とジュリアが笑った。
だが、ハッキリと言う。
楽勝だ。
「振りが無駄。人間相手には特にな。」
バシュッ!!!
ジュリアが加速すると同時に、一息の挙動で逆胴に刃を走らせて抜いた。
手応えあり、一本!!
だが特段、攻撃力があるわけでもないのでジュリアはピンピンしているが驚愕の表情である。
「読んでたんですか....!?」
動きをか?それはいくらなんでも大技すぎるし、今の俺ではイチかバチかでしかできやしない。
初戦でそれをできる人物は御老公だけだろうな。おれにはできない。
「慣れている振り方が、大きすぎるんですよ。私が魔獣にでも見えたんですか?」
彼女の剣が人相手には分が悪いのだ、元々魔獣、魔物の類を相手に戦って身に付けているのだから仕方ないが、彼女には人相手の倒し方の技術が未熟だった。
大体、こちらは有効打一本で済ませられるんだ。
攻撃の強弱なんて意味がない、つまりスキルに頼る必要がない。
「じゃ、私の勝ちでいいですね?」
そう言うとジュリアは再び感心した顔つきで頷く。
「はい、勉強になりました。また機会があったら試合をしましょう。」
笑顔でそう言われてドキッとしたが、なるほど彼女も立派な剣術家なんだなと改めて感じ入った。
正直プライドがある分、しょうもない負けにこだわられて関係が悪化してしまう可能性もあったので安心した。
「して、試験は如何様になりましたか?」
嫌味な風になってしまったのは否めないが、自分なりの照れ隠しなので仕方ない。
すると、くすっとジュリアが笑い、剣を鞘に納めて頷いた。
「ビシャ・モンテンさん、貴方の剣術ギルド入隊を認めます。」
すると機械音のBGMが流れた。
『剣術ギルド入隊おめでとうございます!!入隊の認証としてスキル【剣術・見習い】からJOBスキル【剣術】へ解放されます。また、剣術ギルド入隊の特典として剣術士の経験値が5%UPします。』
『≪追加方法:他のギルドへの入隊≫冒険者以外の他のギルドへの入隊も可能ですが最低条件として一つのギルドでLv10にならないと入ることはできません。また、JOBが変わることによりレベルが初期値に変わります。なお、はじめのJOBに変えてもレベルが初期値にはなりません。』
『≪追加方法:JOBスキル≫JOBスキルとはそのJOB固有のスキルのことで基本的なスキルが取りこまれています。レベルによるスキルツリーの開放ができますので奮ってレベルを上げてください。』
うっし、合格が鍵となっているだな。
というか、剣術士の経験値UPとかうますぎて笑えない、もしも剣術ギルド合格していなかったらヤバかった、それを考えると運が良い。初っ端合格とか結構上の方なんじゃないかな。
「では、改めて受付へ参りましょう。」
「了解だ。」
「それにしてもビシャさん。これが終わったら装備を揃えるべきですよ?」
「....あ、ああ。そうですね」
今見てみるとなんだこの格好は、軽装備しすぎた。
口元と目の周りと手首以外が古びた包帯で巻かれて、防具もなく服は旅の行商人のような恰好だった。
よくミラはこんな服装でミイラと言う奇怪な奴に笑顔で話しかけてくれたな。
そう思うとあの笑顔は最早神の領域だと感じた。
マイクが顔を赤らませながら受付近くの机で笑っていた。
酔ってるな...
「あおぉ~、かえっできだが~。どぉぉだっだが?」
「ああ、合格だとさ。」
「ぬわぁに~!?おででも5回目でやっと合格したっでぇのに~、すんでぇな~!!」
やっぱり初見じゃ難しいんだな、よかった。
ガハガハガハと笑いながら肩を叩いてくるマイクが鬱陶しいが彼の人の良さは気に入っているので甘んじて受け入れた。コイツ見かけによらず力が強いな。
ひときしり叩き終わったマイクは祝い酒だと一人でに飲みだしたので、ようやくとしてジュリアが座っている受付の方へと向かった。
「ビシャさん、剣術ギルド入隊おめでとうございます。」
「ありがとうございます。」
「では、手続きとギルドの活動内容および使用できる施設をお教えいたします。」
おお、大事なことだ。キチンと聞いておかなければ。
剣術ギルドのリーダーには会えないかな、一度でいいから手合せしてどの程度か確かめたい。
「まず手続きから始めますが、剣術名、名前、所属国、所属カンパニーを書いてください。」
[剣術名]______
[名前]______
[所属国名]______
[所属カンパニー]______
「よく分からん。適当に書いていいか?」
「え~ええっと、そんな堂々と言われても....、まぁ、いいですけど。」
[剣術名]北辰一刀流
[名前]ビシャ・モンテン
[所属国名]ヴァルキュリアス王国
[所属カンパニー]未定
とりあえず、これでいいか。
北辰一刀流と書いたのは、とりあえず知っている剣術が新陰流とこれぐらいしかないので入門してはいないので、彼の流派に失礼であるが、勝手に書いた。
「ふむふむ、はい、承りました。次はギルドの活動内容を説明します。」
「よろしく頼みます。」
「我が剣術ギルドの活動は主に王国からの要請で他国に調査に入ったり、並の冒険者では太刀打ちできない強い敵を討伐したりなど、民間の事業ではなく国営であります。ですが、平時の場合においては騎士団の訓練相手や他所の場所で指南したりするなど剣術をより多くの人に知らせるために活動しています。」
「冒険者ギルドは総合的な部門でありその多くは民間の依頼、その他のギルドは専門的な部門であり国からの要請で動くところだと認識してくださればいいですよ。」
「分かったが、私みたいな見習いができることってあまりないと思いますが、その辺どのようになるんですか?貢献度とかランク付けとかあるのですかね?」
「はい、大丈夫です。説明も兼ねて依頼を見てもらいましょう。こちらを確認してください。」
========================
王国から剣術ギルドへ委託、依頼人:王国宰相
[QUEST]大量発生した大魔猪の討伐依頼
[CONTENT]東の村の畑が相次いで荒らされる事件で村長が冒険者を雇いその犯人を捕縛、討伐しようと調査したところ大魔猪であると判明し、奮闘の末に大魔猪に処理したが後に猪の仲間の大群が敵討ちに攻め入り冒険者ごと村を壊滅させた。本件ではその大魔猪の大群の討伐と大軍が発生した原因を調査してきてほしい。
[LIMITED]60STAR、4月20日~27日迄
[HONOR]300POINT(+1000POINT)、50000$(+100000$)、長寿の名酒
========================
「QUESTとは、その依頼の大まかな内容を示します。またCOTENTとはその依頼の詳細な依頼説明および経緯を模したものです。王国からのモノになしますと偶に説明が伏せられることもありますのでご注意ください。また、今回の依頼で見ますと分かる通り討伐のほかにも調査も暗に書かれているますのでそちらも共にクリしていただきますと特別報酬が貰えます。LIMITEDとはクエストの最低条件が書かれており、メンバーのSTARの合計がこれを満たし、かつ期日に報告しなければなりません。HONORとは報酬を意味しており、POINT、$、固有報酬が与えられます。POINTとはSTARの格を上げるために必要な物でこれを規定数持っていれば交換を条件にSTARが上昇します。また$はお金、固有報酬はそれ以外のアイテムです。かっこで括られている報酬は特別報酬ですのでご注意くださいね。また、追加報酬と言う報酬あり報告が早かったり、特殊なアイテムを提出するともらえたりします。」
「私のSTARは幾つなんですか?」
「初めなのでSTARは、1ですね。」
「STAR1で受けられるクエストを見せてください。」
========================
王国から剣術ギルドへ委託 依頼人:宮廷魔導士(82歳)
[QUEST]薬草採取依頼
[CONTENT]ちょいとばかし無理をしすぎたせいでぎっくり腰になっちまった。すまないが、儂の代わりに薬草を採取してきてくれ、採取場所は王国西付近の森じゃ。薬草は取りすぎてはいかんからの!約束した数だけ採ってくるんじゃぞ!!イタタ!!それじゃ頼んだぞ!!
[LIMITED]1STAR、4月20日~27日迄
[HONOR]1POINT、100$、追加報酬あり
========================
========================
王国から剣術ギルドへ委託 依頼人:第5王位継承者のお姫様(6歳)
[QUEST]暇なの!!
[CONTENT]暇なの!!お父さんから城から出ちゃダメって言われてるけど、誰も遊んでくれないし暇なの!!いつも暇をつぶそうと使いの人に面白いもの持って来てって言ってるのにご本しか買ってきてくれないの!!ねぇ、だれか面白いもの買ってきて!!
[LIMITED]1STAR、4月10日~4月30日迄
[HONOR]1POINT、お姫様のご機嫌次第
========================
========================
王国から剣術ギルドへ委託 依頼人:宮廷料理人
[QUEST]ブルーサボテンの花の採取依頼
[CONTENT]頼んで申し訳ない。宮廷料理人のため外には行けねぇんだ代わりに頼む。王国から離れたとこにある砂漠に生息しているブルーサボテンに咲く花を採取してほしい。砂漠には魔物は乾甲殻系しか生息していないからそいつらを近寄らせない特殊な香水を持たせるので安心して採取してほしい。無事を祈る。
[LIMITED]1STAR、3月15日~5月23日迄
[HONOR]5POINT、宮廷弁当、200$
========================
========================
王国から剣術ギルドへ委託 依頼人:王国宰相
[QUEST]名絵師の捜索依頼
[CONTENT]国の式典の為に国王の似顔絵を絵師に書かせようと思い、国随一と呼ばれる天才絵師であるエドガー・ドワッソを招こうと思ったがどうやら不在らしい。何日しても不在だったので不審に思い少々調査したところここ数週間程、姿を見た者がいなかったそうだ。すまないが、エドガー捜索を手伝ってくれ。
[LIMITED]1STAR、3月28日~4月30日迄
[HONOR]1POINT、1000$、追加報酬あり
========================
「以上ですね。」
「は...?これだけなのですか?」
「今週分はそれだけですね。あ、それと期日は特に守ってくださいね。王国への信頼の為にもそれだけはきちんと守ることが大切です。」
期日と言われても、正直に言って自分はそういうのはルーズなのでダメかもしれない。
いや、それ以前にこの量の少なさはハッキリ言って異常だ。
見習いを育てる心算があるんだろうか?
そんなことを考えながら唸っているとポンポンとジュリアが肩を叩いた。
「大丈夫ですよ。一階の人の殆どは、ここでクエストを受けていないので。それに、ビシャさんは初見で合格した期待のルーキーさんですから!!すぐに上がりますよ!!」
は....、コイツなんて言った?クエストを受けていない人が殆どだと?
「待て、理解ができない。えっと、ならどうやって彼らは稼いでるんですか?」
いくらなんでも、プー太郎ではないだろうが他の人たちはどうやってSTARを上げているんだ?
ここでクエストを受けていないのならどこで受けるんだ。
「それは簡単ですよ、冒険者ギルドでクエストを受けているんです。当たり前ですよ。」
不思議そうな顔でジュリアがそう言ったので曖昧に頷いた。
え、ココのクエストは受けないのに冒険者ギルドのクエストは受ける?
意味が分からない....
「冒険者ギルドで受けていて、ここの活動とやら大丈夫なのですか?」
「え、大丈夫ですよ。むしろ推奨してますし、だってSTAR上げてもらわないともっと難しくて重要なクエストに連れていくことも受けさせることもできないじゃないですか。あ、だからむしろビシャさんも冒険者ギルドでSTARを上げてくださいね?」
....なるほど、ギルドという一つの組織として活動や仕事が行われていて、あくまでも剣術ギルドや弓術ギルドと言うのは事業分担や職業の違いを明記させているだけなんだな。
「分かりました。だが、私はまだ冒険者ギルドへ登録していないので、それはまた今度にします。」
「それはまた可笑しな人ですね。普通は冒険者ギルドで少しは鍛えてからくるものでしょうに。」
衝撃の事実に驚愕した。
自分の情報収集の力はここまで鈍っていたのか....、いや収集自体していなかったので仕方ないか。
「では、次の話に移ります。よろしいですか?」
「ああ、はじめてください。」
とりあえず、全て聞いてから後々調べてみるとしよう。
「最後になりましたが、これが最も剣術ギルドへ来る方々が関心を寄せることです、それは訓練施設です。我が剣術ギルドでは、引退した熟練の剣術士やジェシカ・ルゾマーの子孫や弟子の子孫が剣術の指導をしており、ギルド員はこれを無料で受けることができます。また、その訓練で認められた者は彼らから剣術を伝授してもらえる機会が与えられます。また、高位の剣術士になりますと通常では行えない、さらに上のJOBになることができ、その場所を利用する権利を与えれます。」
良いことを聞いた。さらに上のJOBになれるのか、俺はもっともっと強くなりたいからそういのうのは早くしたい、周りに追いつくためにも頑張らないと。
「大体の話は、これで終わりですが不明な点はありますか?」
う~ん、まぁとりあえずさらに上のJOBって何なのか聞いてみないとな。
「上位のJOBって何があるんですか?」
「う~ん、こちらからお教えできるのは【ナイト】ですかね?他にもありますがこちらから言うことはできません。それは情報屋や各人の情報の価値を貶めることでもありますので....。」
ああ、そんなのがあるのか迂闊だったな....。
ああ、畜生め、どんなJOBがあるか分かっていればやりようがいくらでもあるのにな。
「次の質問ですけど。冒険者ギルドでも剣術士としてSTARをあげれるのですか?」
「いい所に気付きましたね。冒険者ギルドに登録したら冒険者のJOBが付きますがそれは補佐JOBとして扱われるのです。」
「補佐JOB?」
「そうです。通常の場合、JOBは一つしか付けれませんがこの補佐JOBはどの職業でも兼ね合いを得ることができるのです。つまりは、冒険者はすべての職の統括とも言えます。なので、冒険者ギルドでの依頼においては他のギルドでも受けることができるのです。」
冒険者ギルドは総合ギルドということなんだな、理解した。
「最後の質問。カンパニーって何のこと?」
するとジュリアがずっこける。
おいおい大丈夫かよ。
「ほ、本当に非常識ですね。カンパニーというのは傭兵ギルドで創られる組織のことですよ。その組織を使って力を蓄積したり、仲間と共に強敵を倒したり、ギルドに指名依頼出されたり、王様に領地を与えられたりされることもある。ひっじょーーーうに重要なことですよ、絶対に今後からは知っておいてくださいね!!」
「ああ、それを使えばSTARが上がりやすいな。」
いわゆるパワーレベリングができる。
強い人に連れて行ってもらうことで自身も能力やSTARが高めれるというのはウマウマな話である
「それはそうですけど、あんまりそれをしていると【剣術】のスキルを上げる時が悲惨な目に遭いますので注意してくださいね。」
短期的にはいいが、長期的にはだめみたいな言い方をされたが、一応なんでダメなのか理解できた。
いやなんというか、無駄に筋肉だけの奴を知ってるから分かってしまった。
「はい、やめときます。」
「分かってもらえてうれしいです。」
ジュリアはそう言って悲しそうに笑ってくる、どうやら先人にはそれを行ったものが幾人かいるようだ。
「質問は終わりだ。で、クエスト受けたいんだけどいいですか?」
「えっと、冒険者ギルドで受けていいんですよ?」
どうやら冒険者ギルドの方が上手くSTARが集められるようでジュリアは頻りに奨めてくる。
「いえ、本命は剣術ですから剣術ギルドでクエストが受けたいんです。」
そう言うと彼女は感極まったようで、嬉しそうな表情をした。
「そう言ってもらえると嬉しいです!では、どれを選ぶんですか?」
そう言われると選ぶのが難しいが、外の風景を知りたかったのであの依頼にすることにした。
「‘ブルーサボテンの花の採取依頼’で!!」
誤字報告してくれたら助かります。
基本設定大事にしますので、設定があやふやなら遠慮なく。