表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/12

4 ストーリー

竹原が帰って、大学側から出された課題をちゃっちゃと済ませるとベッドに横になる。


鍵は閉めた、防犯も大丈夫だろ。


早速、ゲームを開始しよう。


「‘ダイブ、バルハラ’」







ダイブすると浮遊感があり、キラキラと星が体の周りをまわっている。


未だダイブ途中らしい。


そういえば、種族によってスタート地点が多少変わるそうだ。


獣人や人族は町、エルフなら森の農村、ドワーフなら鉱山近くの鉄鋼場。


珍しい種族の大半はほとんど人族と同じ町だそうだ。


例外があっても、エルフかドワーフと同じ場所なんだと。







と、思ってるとどこかに着地した。


次の瞬間に光が消失し、風景が現れる。




広がる風景は毎度おなじみの中世ヨーロッパ。


ルネサンス建築の家造りが多く、明るく、圧倒されるような街並みで、現代日本の街並みとのギャップからか少し感動せざるを得ない芸術的価値がそこにあった。


石畳道の道が大きな広場を中心として広がり、歪曲しながら続く道はそれだけで美しいと感じられるものでその上を走る馬車に繋げられた馬が歩く風景などとても絵になる。


感慨深いその風景に心奪われていると、後ろから声がかかった。


「ようこそ、バルハラへ!!」


ビクッとしながらその声の方向を向くとくすんだ金髪の身なりのいい優男が手を広げて歓迎を示した。


「あ、私に言ってるのですか?」


若干、いつもとは違うように一人称を私として声をワントーン落とした上で問いかける。


優男は、ハイ!と気持ちのいい返事で笑顔と共にそう言うと自身の紹介を始める。


「私はヴァルキュリアス王国、中央案内支部所属のナビゲーターである、ミラ・アーノルドです。」


「ご挨拶どうも、私はビシャ・モンテン。」


「こんにちわ、ビシャ殿。この度、この王国に来てくださったことを感謝するとともに歓迎いたします。」


ミラは恭しい態度で左胸を右手で叩いて軽く会釈した。いきなりの急展開だが、頭は冷静な方なのですぐにチュートリアルだと気付いた。それにしても礼儀が凄い上の者に対して使われているように見えて居心地が悪い。


「はぁ...?ところでミラさんは何をしに?」


ここで話をグダグダするのも嫌だったので、多少失礼にはなるが本題を聞くことにした。

ミラは、少しも少しも嫌な顔もせずニッコリと笑って、ハイっと大きな声で返事する。


「失礼ながら、ビシャ殿はこの町に来て初めてだと思われたので、大方の説明と冒険者ギルド、剣術ギルド、弓術ギルドの紹介を行おうと思った次第です。」


それは非常に助かる。だけど、なんだか話がうますぎてどうにもこうにも信用ができない。


「えっと、案内費とかいるんですか?」


そういうとミラはキョトンとした顔になり急に笑い出した。


「アハハハ、必要ありませんよ。うん、確かにいきなりこの様な話をされては見知らぬ者からしたら不審者極まりませんね。」


ミラはそう言って懐から大きな手形のようなものをとりだしてこちらに見せてきた。


「では、これを見ていただけますか?」



============


[NAME]ミラ・アーノルド


[RACE]人族・ヴァルキュリアン民族


[JOB]案内支部所属:ナビゲーター


============



あ、どうやら身分証明書みたいなものだったみたいだ。


というよりもキチンと案内支部所属のナビゲーターって書いてあるや。


「あ、すみません。」


疑っていたことと内心がばれていたことに罪悪感が出てしまい、それを見て申し訳なくなった。


「いえ、構いません。ですが、その心意気は金に勝ると思います。」


爽やかな笑顔でそう許してくれるミラがとても神々しく見えた。


「では、説明をしましょう。」


ミラは笑顔でそう言ってきた。




「我が王国は、如何なる種族も平等に、公平に扱うことを信条に、王様であられますヴィクター・ヴァルキュリア様が統治なされている王権主義の国家です。ここでは魔族、獣人族、人族がたがいに愛し合い、慈しみ合いながら暮らしており、商業、農業がとても発展している国とも呼ばれておりますね。」



共和国みたいな感じだけれど主権は王様にあるって感じなんだな、というよりもその王様すごく器でけえ。



「また、我ら王国のヴァルキュリー騎士団は、男性のみならず、女性の採用もされているとても珍しい騎士団で、王国随一の強者が募る場所でもあります。もし、騎士団に興味がお有りでしたら騎士団の詰め所であります、城下町一番街の門兵であるゴドフリーに尋ねてみてください。」



「あの、騎士団に入れるんですか?」


「はい、我が王国は身分を問わずしてその人柄、能力のみを判断し採用していますので、誰でも騎士団に入ることは可能ですが、騎士団に入るのそう容易くないので相応の努力が要ります。」


え、騎士団に入れちゃうの?え、マジか、そんなのありかよ!!

凄い、滅茶苦茶憧れるな、そういう立身出世。......後で話しかけてみようかな。


「では、話が移りますが、よろしいですか?」


と、色々と気になってしょうがなかったが黙って頷いた。



「周辺の国々代表的な所を言いますと、ミカエル聖国と呼ばれる神及びに天使を崇拝している国やガルーダ共和国と呼ばれる獣人族のみで形成される国、そして最強の軍備を誇るトール帝国。今は、安定していますが昔はこれら三国と互いに戦いあったのは有名な話で、ラグナロク戦記で語られていますね。」



「ラグナロク戦記?」


ラグナロク、神々の運命。


それは運命の悪戯が招いた神たちの喰らい合い。


破壊と再生。


「はい、ラグナロク戦記というのは我が王国ひいては三カ国が互いの戦を嘘偽りなく描かれている生きた戦記と呼ばれる神の主柱オーディン様がお創りなさられたものだと言われております。」


破壊は不能。虚実も不可。風化もしない。


まさに伝説の戦記である。


「慈悲ぶかきオーディン様が、一説では過去の過ちをしないようにと反省の意を込められてお創りになったと言われています。」


殆ど塗りつぶした過去しかないような現代の世界各国に比べるとそこだけは見習う価値がある。

正しき価値と言うのが分かっているというか、情報の大事さを神自ら理解しているのだろう、とても尊敬できる。



「さて、次に各国々の敵の情報等も知っておくべきでしょう。あ、敵と言っても我らが国ではありません。差し詰め堕人と呼ばれる者のことです。まず、ミカエル聖国を脅かす堕人・ラファエル族と呼ばれる悪魔神ラファエルを崇拝する宗教団。次にガルーダ共和国と亡者を使い、常に戦ってる戦闘団体である堕人・ヘル族。トール帝国の海で人を襲う、堕人・ヨルムンガルド族。そして我が王国の王の命を狙う堕人・フェンリル族。この四つの種族は大元はロキ神が操っているとも言われており、我らが最大の敵はロキと言う認識が高いです。」



はぁ、色々と面倒なことが山積みと言うわけだな、というよりももう少しはみんなで協力して倒そうとは思わなかったんだろうか。

ミラは真剣な表情を崩すと元の笑顔に戻って歩き出すように仕種をした。



「さぁ、ギルドの話をしましょう。この王国にあるギルドは8つ、剣術ギルド、弓術ギルド、冒険者ギルド、漁師ギルド、鍛冶ギルド、料理人ギルド、商人ギルド、そして傭兵ギルド。」



先程は3つのギルド先を紹介してくれると言っていたがそれ以外にもあるのか?

生産系は違うにしても、もう一つの...


「傭兵ギルドって、なんですか?」


「はい、私としてもそれからまず説明しようと思った次第です。」


あ、ヤバイせっかちすぎたな。


「傭兵ギルドとは、戦争が起こった際や大災害が起こった際などのみ活動しているギルドです。」


ザックリ過ぎて冒険者ギルドとの差が分からないな。


「えっと、それって冒険者ギルドとどこが違うんですか?」


「はい、冒険者ギルドでは近隣の貴族から平民にわたりすべての人からの依頼を統括している者ですが、冒険者ギルドはあくまでもならず者への救済処置でしかないのです。なので、緊急時の際には不安があったり、弱い冒険者に対しては安全が絶対となっております。貧困の上の無理強いを防ぐため、民からの求心を無くさないようにするためです。」


「しかし、それでは戦争やら大災害やらで国の一大事に志願兵のまとめ役がいません。そこで創られたのが傭兵ギルド。傭兵ギルドではある一定の基準をクリアしなければ入隊することはできません、またそこで創られる組織では、幾つかの大きな団体が作ることができ冒険者としての活動も手助けすることができるのです。」


「なので冒険者は日常、傭兵は非日常と思ってくれれば結構ですよ。」


確かに、冒険者と言う職業は子供や力が無い者でもなれそうなものだが、戦争とかではそうはいかないもんな。そういう連中を間引くためにも傭兵ギルドがあるんだと確信を持って言えるな。


と、このままでは無駄に時間が食ってしまう。ある程度説明を割いてもらわねば。


「生産系のギルドはいいので他のをお願いします。」


「ああ、そうですか。では、また今度にして冒険者ギルドについてはあらかた話しましたので、弓術、剣術の話をしますね。」


よかった、ミラさんが話が通じる人で。


「弓術ギルドは、エルフ族の英雄、アルフィン・フォートレスが興したギルドで今代のギルド長テマ・フォートレスの指揮のもと各国から随一の弓術士を出す場所として名高く評されています。弓術は我が王国の遠距離型戦闘スタイルの一つで水神の盾と呼ばれております。」


「次に、剣術ギルドは、剣聖レイの弟子ジェシカ・ルゾマーが指南した道場が元となっており各国からの入隊者が後を絶えず競争率は他のギルドの倍を凌ぎます。」


「えっと、今ので大体終了ですか?」


「はい、本当はもう少し話をしていただければと思ったのですが、ビシャ殿の時間を割くのも申し訳ないですので。次回時間がありましたら是非とも話しかけてきてください。」


顔に出ていたのか、自分ながら恥ずかしい。

剣術ギルドって言うからもっと事務的な物だと思ったんだが、結構歴史が深いみたいだな。

ここに図書館ってないのかな?


「図書館ってありますか?」


「はい、ここを左に行くと大きな看板の質屋があって、その横の大通りを出ますと噴水があり、そこが図書館となっております。なお、図書館の入館料は一般向けは銀貨1枚、貴重な資料等の部屋は金貨3枚です。」


敷居の差がえらく違うが、その分情報が高いのだろうな~。


図書館に行くのは金が貯まってからにしよう。


「何から何までありがとうございました。」


「いえ、多少の手助けをしたまでです。」


ミラさんに礼を言って別れると、早速剣術ギルドに行くことにした。


「えっと、ミラさんからもらった地図によると...」


そういいながら目印となっている建物を見て、歩きながら行くと簡単に見つけることができた。


大きな建物だ、高層ビルとかそんな高い建物では決してないが、ルネサンスの建築物が教会の建築と似通っていることからとても厳かな雰囲気が感じられずっしりとした重みがある。


さて、扉を開こうか


俺は戸に手をかけた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ