2 ストーリー
祐二を連れて住んでいるマンションまでやってきた。
一人暮らしは親からの頼みでもあったので、仕送りは5万ほどしてもらいながら、夜勤のバイトなどやって細々と生活している。恵まれている環境だからこそこんなにいい気にゲームの時間があるのだと再認識していしまうこともあるが。
「それにしても、お前の部屋って何度見ても殺風景だよな!」
部屋に入ってきて早々に失礼なことを言うやつだが、自分でもそう思っているから別に怒りなんて沸いてこない。ゴキブリは偶に湧くけどコールド殺虫でいつも撃退。
「ほらよ。茶飲み終わったら設定と接続まで手伝えよ。」
そう、先程もらったゲーム機兼ゲームカセットをどう扱うかキチンと知識ある者に手助けをしてもらいながらやる方が良い、というよりも若干扱いが怖かったので連行してきたのだ。
「おお、サンキュ。ズズッ...つってもそこまでムズくないぜ?」
と言って早速袋から【オーディン】を取り出し、説明書をこちらに放り投げながらホイホイとルーターとチョーカーをプラグで次々と接続しながら、作業を勝手に始める。
何々、回線AをAの方へ、回線BをBの方へって・・・説明が本当に単純明快。
そう唖然としながらも説明を読んでいる途中で、なんと竹原が作業を終えていた。
「よっしゃ~、後はこれ付けてみ?」
完璧と笑顔で言いながらチョーカーをこちらに渡してくる。
黙って、それを受け取ると首に付ける。
「で、これでどうすんだ?」
付けてはみたものの何の変化を起こさないことに疑問を抱きながら竹原の方を見てみると、ウンウンと頷きながらサムズアップしながらキラッと笑ってくる。
正直気持ち悪い。
「首の横についてあるセンサーに手を翳しながら‘ダイブ、バルハラ’って言えばいいんだぜ!」
確かにオーディンといえばバルハラだなと甚く感心しながら早速動作を行うことにした。
「じゃ、ちょっと行ってくる。」
「あいあい。それまでお前の貞操は俺が守るw」
「やってみろ。殺す。」
ひぇ~っと顔を青ざめさせながら手を振ってくる器用な友人を後にトブ
「‘ダイブ、バルハラ’」
意識が遠のいて行くのが分かる。
これが電脳世界へと連れていかれる感覚なのだろうか?
それは、気持ちの悪いものではなく。
何かに包まれるような温かさまで感じる。
「うおっと!!凄いな、いきなり地面に立つ感覚とか、リアルすぎる。」
当に電脳空間と言えるブラックボックスのような部屋にいた。
多分、初期設定が決まっていないせいだろう。
早めに終わらせないとな、とその前に...
「どうやって、初期設定するんだ?」
どこにもそのような、装置はない、建物内のであってはこちらからはどうしようもない。
と、そんな考えも敢え無く、忽然と声が聞こえた。
《ようこそ、バルハラへ。私はフギン、記憶する者だ。》
「どうも、こちらは・・」
《よい、これからバルハラへ訪れるソナタは、この世界で新たな名を受けるのだ。》
《まずは、その名を聞かせてもらおうか?》
[NAME]:_____________
と書きやすいぐらいの位置に新たな画面が出てきたどうやらキャラクター名を書き入れなければならないらしい、まぁ当然だな。
早速、自身の気に入っている名前を書いてみた
[NAME]:ビシャ・モンテン
OKボタンを押して次に進める。
《ビシャ・モンテンか...ふ、良い名だ。》
《さて、ビシャ...ソナタはこれからどうしたい?》
・・・・・は?
フギンの唐突な問いに頭が真っ白になる。
いきなり、どうしたんだろうか、いやでも問われているのだから答えを返さねば礼に背くな。
「自身の志を進みます。」
咄嗟に言えるのはこんなありきたりな答えでしかなかったが、実に的を射ているとも内心では思った。
ど、どうだ?
自身より上位の者の機嫌を損なわないようにキチンと返したが果たして本当に大丈夫であったか、心配でたまらない。
《そうか。では、次に移る。》
フギンの声からは何も伝わらない。
機械的であるが故になにも感じない。
先程の問いは本当に意味があったのだろうか?
《ソナタは何の種になるや?》
次は種族か...。
そういえば、多種族がどうとか言っていたな、俺自身はそこまでキチンと理解していないが竹橋なら色々と知っていたことだろう。
アイツに聞いておくべきだったな。
[NAME]ビシャ・モンテン
[RACE]________
選択肢
<獣人族・月狼>
<鬼人族>
<ミイラ>
三つとは、少ない。
問いかけが起因しているのか?
さて、ここから選ばなければならないのか...、獣人族の方は予想できる月により強さが変わるんだろう、妥当な線でこれを選ぶべきだ。
次に鬼人族、大和の鬼だろう、多分強い種族だ、大剣や槍やら振り回している姿が容易に浮かび上がる。いいな鬼。
次にミイラ、さっきから狼やら鬼やらミイラやらハロウィンか!?
実際は人族が取りたかったのだがな~、これで選びようがない。
本当にどれを選ぼうかう~ん、まいっか。
[NAME]ビシャ・モンテン
[RACE]ミイラ
一番俺自身が扱いやすい種族はコイツだ。
狼はスマートな体つきだが腕が太い、鬼人も同様だ、ハッキリ言うが体がモロ筋肉質は俺にあっていない。
だからこそ、ベターでミイラにした。
《ほう、ソナタは砂漠を徘徊する種族か...、どれ姿を現そう。》
俺の体が、干からびたようになって、目は窪み、まさに骨と皮状態になった。
へぇ、これはこれでなんかいいな。
《さて、ソナタの担う事は何ぞや?》
担う事?ああ、職業か...
そう思っていると、またもや画面が現れてきた。
しかも今度は、大量だ。
[NAME]ビシャ・モンテン
[RACE]ミイラ
[JOB]________
戦闘職
剣術士
斧術士
盗賊
拳闘士
槍術士
弓術士
白魔法士
黒魔法士
テイマー
召喚術士
生産職
鍛冶師
木工師
山師
釣り師
裁縫師
料理人
商人
ファーマー
デザイナー
この中から一つ。
即決だ。
[NAME]ビシャ・モンテン
[RACE]ミイラ
[JOB]剣術士
さて、これで終了かな?
《ふむ、剣を掲げ、盾を持つものか。》
《では、最後だ。己が奉る神を選べ。》
神?そんなのオーディンではないか、ちがうのか?
と画面を見てみると9つの名も知らぬ神がかかれていた。
[NAME]ビシャ・モンテン
[RACE]ミイラ
[JOB]剣術士
[OFFER]________
正義の神:ギルサンダー
知識の神:べオル
武の神:カミナヅチ
愛の神:イルセル
豊穣の神:オルナス
時の神:ジクルス
商売の神:エンヘン
暗黒の神:ヘブン
幸運の神:アルセフィロス
これも即決だった。
[NAME]ビシャ・モンテン
[RACE]ミイラ
[JOB]剣術士
[OFFER]カミナヅチ
《武の神、カミナヅチ・・・、それがソナタの奉る神か》
《ならば、ゆけ世界へと!!!》