モデルな彼女 ユリ
世はまだまだ韓流ブームらしい。少女時代にKARA・・・。ただでさえ日本の芸能人すら疎いのに、韓流になるとお手上げ状態だ。看護師詰所で、ナース達が韓流雑誌片手に何やら盛り上がっている。
「先生ってイケメンだし、お洒落だしモテる要素しか見当たらないのに、女の子の関心事には疎いんだから。そんなんだから彼女にも逃げられるんですよ。」まだ韓流って相変わらず人気あるの?そう聞いた俺にナースの一人がそう答えたものだから、皆どっと笑った。
「あのさ、彼女に逃げられたくだりは余計だろ?」いつも俺はドクターらしくないと言われる。気さくで話しかけやすいと言われ、いつもからかいの対象だ。威厳が足りないのだろうか?と思うこの頃だった。
話はそれたが、痛い所をつかれた。実は先日彼女にフラレたばかりだ。彼女の趣味であるベリーダンスの話を交際してからというものの、事あるごとに聞かされていたにもかかわらず、ベリーダンス始めてからウエストいい具合にしまってきたでしょ?なんて言うのものだから、そうだね。ポール相手に腰振ってりゃ、痩せるんだ。
的外れな俺の返事に、彼女はため息をついた。俺はベリーダンスをポールダンスだと勘違いしていたのだ。「雄大って、私の趣味を全く理解してなかったのね。私に関心ないって事でしょう?」呆れた彼女は去っていった。
ぼんやりと昔の事を考えてた俺に、先程のナースが「さすがに韓国ナンバーワンモデルのイ ユリは知ってますよね?先生の親友の伊原先生の妹さんですもの。」そう言って雑誌を見せられた。
雑誌の中のユリは、とびきりの美しさと驚く程のスタイルの持ち主だった。あの伊原圭の妹?似ても似つかない。
「お前ら、バイタルチェックの時間だろ?口動かすより、手動かせよ。」ナース達は慌てて病棟に向かう。俺は残された雑誌のユリをもう一度見た。
圭の家系のDNAはどうなっているのだろう?このユリが突然変異なのか?とにかく圭に確かめよう。俺は医局に向かった。