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奇妙な短編

恋のキューピッド

作者: ショッピー

 僕がどんなことでも解決をしてあげる

 僕は恋のキューピッド。恋に悩める人のお手伝いをするのが役目。

片思い、三角関係、浮気、何でも来い。

僕がどんなことでも解決をしてあげる。


 いつもの決まり文句を練習して、天使は空に飛び立った。

大きな目をぱちぱちさせて、ハートのマークが書かれたおむつをあげる。そして、手に持った天使の槍を

振り回す。


 天使の日課は、担当の街を徘徊し、恋に悩んでいる人に声をかける。恋に悩んでいる人は表情を見れば

すぐにわかる。そうして、その人の悩みを解決するというものだ。

 天使は人々が集まる商店街に足を運ぶ。小さな羽を羽ばたかせ、人の波をかき分けながら進んだ。

人間には見えないように設定してある。しかし、その設定を解除すれば人にも見えるようになるのだ。

しかし、大半の人は、天使が姿を現すと逃げていく。


 商店街を抜け、高級そうな家が立ち並ぶ住宅街に入った。噴水が置いてある家もあった。

ここにも恋に悩んでいる人はいないようだ。


 天使には悩みがひとつあった。

天使が人の恋を手助けして、その恋が実ったことは一度もないのだ。

なぜだろう、といつも考えているが、原因がわからない。

このままでは天界から追放されてしまうかもしれない。

それは嫌だ。


 住宅街のはずれにある、木に囲まれた静かな公園に足を踏み入れた。

まだ昼なのに中が暗い。こんなところに人がいるのかと思っていたら、本当にいた。


 ベンチに座って弁当を食べている女は、悲しげな表情をしていた。弁当の中身もほとんど減っていない。

天使はすぐにわかった。

この女は恋で悩んでいる。

そして、営業モードに切り替えた。


OLらしき女の前で姿を現すと、多少驚いたふうに目を見開いた。

「僕は恋のキューピッド。恋に悩める人のお手伝いをするのが役目。

片思い、三角関係、浮気、何でも来い。僕がどんなことでも解決をしてあげる」

天使は早口で言った。


 女は困惑していたが、しばらくするとうつむきながら話し始めた。

ここまで話を運べるのは珍しい。ほとんどの場合、信用せずにどこかへ行ってしまうのに。

「私の好きな人が親友に取られたの」

この一言で天使はすべてを察した。これは親友との泥沼三角関係。

一番厄介なケースだ。


 天使は「任せて」と言って、親友と好きな人がデートをしているという喫茶店に向かった。


 ビルの横のおしゃれな喫茶店のカフェテラスに、そのふたりはいた。

短髪のやさしそうな男に、鼻の高い薄化粧の女。

楽しそうに向き合って会話を楽しんでいる。さっきの女には辛い情景だろう。

方法はもう、考えてある。

天使は微笑んだ。


 1時間後、喫茶店にOLの女を連れてきた。

「これで三角関係は解決。幸せになってね」

「なによこれ?私はこんなこと頼まなかった」

彼女は泣き出した。

「なんで殺したのよ!」

カフェテラスには、血まみれで倒れている女の親友の姿があった。


 天使は疑問に思った。

どうして? これが一番簡単な方法なのに。


 久々の短編です。

ぱっと思いついたネタでささっと書き上げました。ちょと短かったかな?

気分転換に書けて面白かったです。

感想お待ちしています。

ではでは。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  三角関係と天使を題材に上げていて、着眼点が面白いなと思います。  王道のオチもわかりやすいです。 [気になる点]  地の文での説明が少し中途半端だったかなと思います。  説明文がどっちつ…
[良い点] テンポよく読めました。 [気になる点] 天使がなぜ槍を持ってたのかが分からず終わってしまったのが残念でした。 あと改行が若干気になりました。 [一言] 短編ということもあり、まとめすぎたよ…
[良い点] 面白い内容で、読みやすかったです。 [一言] 時間があれば、違う作品も読ませてもらいます。
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