その2
「起きてください?怜様。」
まぶしい日差しが目に入り、思わず顔をしかめる。
「んっ…朝……?」
「さようでございます。」
聞いたことのない穏やかで優しい低音。
どこか心地がいい。
ん?聞いたことない??
__ばっっ!!
布団を勢いよく飛ばし、声の主の顔を見る。
「おはようございます、怜様。」
「えっ!あれっ?牧野じゃないのか?」
いつも美味しいおやつを持ってきてくれる牧野。
日常生活を牧野が世話をしていてくれた。
起こしてくれたのは牧野ではなく………
「誰だよ…?」
「申し遅れました。高梨 蓮と言います。」
「たかなし……れん…?」
「ええ、これからボディーガード兼執事を務めさせていただきます。」
満面の笑みで答える高梨。
「制服を置いておくので、着たら食堂までおいでください、では」
ガチャン_ _
高梨 蓮___
名前を呟くだけで顔が赤くなり、ドキッとする。
制服もいつもより綺麗にシャツが整っている。
着るのがもったいない………
「あっ、高梨………さん?」
廊下であった高梨に声をかける。
「高梨でいいですよ?」
__また、アノ笑顔だ…
ドキッとしてしまう。
「えっと…高梨…。」
「はい?」
「その……えっと……ぁ…その…」
__ダメだ、上手く話せない。緊張す
「ふふっ…」
「なっ…なんだよっ…!」
「かわいいなと……思ってしまって…」
変な空気が漂う。
「怜っ!早くしなさいっ!!」
姉の声がどーんっと響く。
「そんなところでなにしてんの?」
「姉ちゃん……すぐ行くっ!」
急いで階段を降りて、食堂まで行く。
姉ちゃん、満里奈は怒ると怖い
恐ろしい。
「行きましょ?」
「あっ、ああ…」
樋川学院は色々と面倒である。
テーブルマナーならやってんのに……
そう思いつつ、ナイフとフォークを持つ。
「なぁ、聖岳。」
「ん?」
彼は親友の拓海。
気が合う唯一の幼学部からかの友達である。
「なんでテーブルマナーってやってんだろ?」
「俺が知りたいさ…」
「だよな~」
何気ない会話が終わる
はぁ、家に帰らないと……
「聖岳、今日ウチ来ない?」
いけるわけない。
「ごめん、ちょっと…」
適当な言い訳を済ませる
「たっ、高梨っ!」
「お帰りなさいませ」
「ちょっと、来ないでってばっ!」
「わぁっ!」
高梨は軽く怜を持ち上げる。
やめてぇぇぇぇっ!