戦闘開始前日
わたしは乾いた大地をふみながら、自分が配属された大隊の兵舎へ向かった。
この乾いた土しかない大地の上にEU軍の駐屯地兼最終防衛線がある
駐屯地には約10万の兵士たちがいる。
そこで兵士たちは各々自由に過ごしている。
設備はPX(購買部)スポーツジム バー 整備室 武器生成施設 食堂 慰安施設 大浴場と快適だ
兵士たちがいるのは主にPXの広場かバー、次に整備室で最後に慰安施設だ。
一番少ない場所はスポーツジムと大浴場だ。
これは最前線であるがゆえなのだが、兵士たちは一日中装備を持って私生活を送っている。
遊ぶときも食うときも寝るときでさえもだ。(何人かは風呂に入る時でも持っている)
これは何時戦闘が起きた際でも生き残るためだ。
はたから見たら異様な光景だろう。
そうだったとしても、彼らとしては必要最低限の装備を持って歩いているにすぎない。
ちなみに彼らは日が落ちてからはほとんど寝ない。
2時間交代で休憩はとるのだが、6割の奴は寝ない。
それは主な戦闘が夜であるからだ。
ちなみに電灯は一切つけず、すべての窓は対爆シャッターが下ろされ、内部の光を一切漏らさない。
理由は簡単、敵に発見されないためだ。
兵士は皆暗視装置を持っている。
というか暗視装置がないと暗くて何も見えないのだ。
地球の活動がほぼ停止し濃い雲が空を被ってしまい、月の光が地表まで届かないのだ。
もはや暗いという表現では事足りないかもしれない。
もはや闇だ。一切音がせず、まるで暗い防音室に閉じ込められたかのような闇だ。
正直怖い。
おまけに、襲撃されるのは夜が多いときたものだ。
だからほとんどの奴は暗視装置を付け他者と接することで、壊れかけの精神をなんとか保っているのだ。
しばらく歩くと、ようやく仲間の兵舎にたどり着いた。
扉を開け、その場に荷物を置き私は挨拶をしようと背筋を伸ばした
「ハインド一等兵ただいまとうちゃ・・・・・く」
私は自分の分隊のメンツを見て唖然とした。
一言で言えば、かつてオタクと言われた趣味の持ち主と想定されるであろうメンツが揃っていた。
いい意味で言えば個性的な奴らばかりだ。
ベットの上で寝転がり、可愛い少女が表紙の本を読みながら目も向けない奴、こちらに目も向けずに黙々と銃の整備をするやつ
動物の雑誌を眺めて笑ってる奴・・・他5名
この分隊の隊長らしいやつが俺に気がついて向かってくる。
「ようこそ爪弾き分隊へ。一様ボンバーチームって呼ばれるが爪弾きって呼ばれてる。まぁ濃い連中だから仕方がないが、気楽にやってくれ。」
軽い敬礼で挨拶をしたあとそいつは言った。
そのあと思い出したかのように、分隊員の紹介を始めた
「あの美少女漫画を読んでるのが、ピッグ。」
「隊長!俺の名前は豚じゃねぇ!ピアー・グルームって名前がある!」
大きくない声で、会話してたのにいきなり反論してきたので驚いた。
「そう。あいつは耳良い、虫の歩く音でも聞こえる。あいつが何か異音がすると言ったら、警戒しろ。兵種はガナー(援護兵)」
「次にアニマルブックで興奮してるのはアール。あいつは偵察に優れていて、アンブッシュ(待ち伏せ)潜入が得意だ。変人だが気にするな。兵種は偵察兵、ビーのバディ(相棒)だ」
「四六時中銃を弄ってるのがビー。狙撃兵だ、問題なのは自分が認めた人間以外には従わないところだ。やつと友だちになりたかったら、実力をみせな(笑)」
「で、俺はブル。猪みたいに攻撃思考だからそう呼ばれてる、兵種は突撃兵だ。君には衛生兵兼突撃兵として活躍してもらいたい。なぁに医務室にいるドクターみたいなことは求めてない、
前線でメンバーを死なせないように奮闘してくれればいい。今は医療が進歩して銃弾で穴があく程度だったら、復帰して逃げるぐらいはできるしな。」
「了解しました。」
まぁ止血程度だったら小型医療用機械でなんとかなるから大丈夫か。
細かいことはヘルメットのAIが教えてくれるしな。
なぜ俺が、こんな変人だらけの分隊に入れられたのか不服だったが諦めることにした。
他の連中のことを気にかける心配がないのは気が楽でいい。
とりあえずベットに荷物を下ろしてくつろぎ始めると、ピッグが声をかけてきた。
「よぅ。ピアーだ。よろしく、さっそくなんだがコレに興味ねぇか?」
そういって目の前にだしたのはさっき読んでた、美少女がうつってる漫画だ。
こういう漫画は読んだことはないのだが、興味がわいたため流し読みしてみることにした
「あー、今まで読んだことはなかったんだが面白そうだな、借りていいか?」
「おぅ!いいぞ!読み終わったら言ってくれ!」
どうやら気にいられたようだ、しょっぱなから嫌われたくないしな。
借りた漫画を適当に読んでいたら、どっかへ行っていた隊長が戻ってきていて全員に完全武装で待機をしていろと言われた
どうやら明日戦線に行くようだ。任務内容は敵前線基地を発見し、潜入と破壊工作
それを聞くと俺はさっさと装備を整えて寝てしまった。
長い文ですが、最後まで読んでくださったかたありがとうございます。
投稿ペースは遅いですが、気ままに待っていてください