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プロローグ
たの笑顔が思い出せない。
思い出そうとするたびに、苦しくて、掠れる。
何だったの?私は。
彼方のおもちゃ?退屈しのぎ?
「いいや、そうじゃない」
手を引っ張って。心を、抱き寄せて。
私のために泣いてくれているの?
みっともなくても、恥さらしでも、私のためだけに……?
「―――……ぁ、……!」
本当に。
力強くよく頷いた喉から嗚咽が漏れる。
ありがとう。
私を認めてくれて……。
私に、生きる心地よさを教えてくれて。
「救急車……」小さく呟く。それを優しく包むように彼は言った「…警察も、な」
『女子中学生、自殺未遂』
平凡だった私の人生は、非凡になった。