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帰郷  作者: 烏有=C・Brownie
1/3

1.Every wall in here is blue.

「やめろ!どうしてお前はそんなにイカれてやがるんだ!」

弾丸を金槌で叩く俺にベットが言った


俺はその時、荒野の岩に弾丸を乗せて、分解のため金槌を振るっていた


今日も荒野は暑い

イカれるには丁度良い日だった


この騒いでいるベットという男の名前は本名ではない

全突っ張り(マックスベット)』がこいつの通り名だった

顔は良いがセンスが絶望的に悪く、格好付けているのか21世紀にもなってテンガロンをかぶって銃を差した姿をしているマヌケだ



火薬(ガンパウダー)にはトルエンだかが入ってて、幻覚が見れんだよ。幻覚をずっと見てたら、いつか死んだ母さんにも会えるだろ」


俺はわからず屋のベットに論理的説明を行うと、こう締めくくった

「それに、このやり方で弾丸が爆発した事は数えるくらいしかねえ」


得意げにベットを見る

わからず屋野郎は「いつか死ぬぞ」と言い返してきた

「それに、お前の母ちゃんなんか街のやつらに挽肉にされちまったろうが。車の後ろにロープで結ばれて、街中引き摺り回されてな。今更そんなもんに会いてえってのか」


これは個人的にはとても頭に来た

俺は銃を抜くと、ベットの眉間に押し付けた

「お前はロマンが無えな」


「有るよ」

ベットは不敵に笑った

「お前を女にして、夜の間中泣かしてやる事が出来る」

俺は撃鉄を起こし、引き金に指をかけた

「……俺は女じゃねえ。本当に殺されてえみてえだな」


ベットの表情が曇る

「すまん、今のは本当に言っちゃ駄目だったな。謝るよ」


銃を下げると、ベットは俺を抱き寄せた

俺はこいつ以外の男に触られるのが蛇よりも嫌いだ

「二度と言うな。次言ったら今度は殺す」


なるべく脅しておきたかったのに、ベットの唇が俺のそれに重なり、俺はそれ以上何も言えなかった


確かに、こいつにはロマンがあるのかも知れない

少なくとも今日は俺の負けのようだった


口づけはそれからしばらく続いた

辺りでは、そこら中で俺たちに襲撃された現金輸送車や人間の残骸が、嫌な匂いを立てて燃え盛っていた

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