第一項
天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずという。また、神は二物を与えずなどという。これらの警句が妥当だとするなら、天や神と称されるものはなぜそんな何も才能もない人間を策励する嘘をついたのだろう。
高校二年。中弛みの学年と言われている春休み。旧友の朋希の部屋でこんなことを話していた。
「僕は16年この体で阿賀朋希として活動してきたけど、どうやら天賦の才はなさそうだ。オージローは特例だね。羨ましいよ。」
「何も羨むことなんかないさ。これからは普通になれないんだから。」
「イーヤ。僕がその才能を手に入れれたら大喜びだね。」
朋希はベッドの上に立ち上がり、拳を堂々と掲げた。
「大魔法使い、朋希ここに爆誕!」
朋希は意味ありげな顔でほくほくとした顔で俺を見る。
真顔俺の前でよくやってのけたものだと少し感心。朋希はこういうやつだ。
「恥ずかしくないのか。」
朋希は肩をすくめる。
「相変わらず冷たいねえ。まあそういう心のなさもいいと思ってるよ。」
む。失礼なやつだな。俺も努力はしている。
「俺は感情の起伏さんがおとなしめなんだ。」
朋希は少しクセのある焦茶の髪を揺らしながら笑った。髪をかき上げ、先ほどまでのおどけた様子から一変。真摯に尋ねた。
「桜次郎はなぜ突然魔法が使えるようになったんだい。」
窓から風が吹き、季節はずれの風鈴がチリンとなった。
えっと、、。初めましてしまはるです。
初投稿ですので温かい目で見てもらえたらと思います。あ、もう読んでるのか。
読んでくれてありがとうございます。
今後ともご贔屓に。