「名実ともに悪である」④(暗躍する者たち)
過去(路地裏)
足を撃ち抜かれた男が路地裏に追い詰められていた
戦友だった男「ハァ、ハァ」
それがその男とヘクターの5年ぶりの再会だった
戦友「…久しぶりだなヘクター」
ヘクター「…」
戦友「なぁ、教えてくれよヘクター」
戦友「あの戦争にはどんな意味があった?」
ヘクター「…」
ヘクター「あいつらは、無駄死にじゃない」
戦友「…ッフ」
男は自虐的に笑う
戦友「なあ、X今この国じゃあ汚い仕事に就くしかできることがなくなっている」
戦友「俺にも別の選択肢があればな…」
現代
ミカ「?」
ミカがヘクターの額をつつく
ヘクター「!」
ミカ「夢から覚めた?」
瓦礫の散乱する酒場でヘクターは目を覚ます
ヘクター「ああ…」
ミカ「…」
その雑多な廃墟街は当然
人の出入りが全くなくヘクター達の仮拠点になっていた
その街の小さな酒場を占領したヘクター達は
東に向けて、車で移動しようとしている最中たった
ヘクター「そっちの眠り姫はどうなっている…」
ミカ「まだ寝てる」
ソファーの上の少女に眠りから覚めたXが近づいていく
ヘクター「そうか…」
ミカ「起こす?」
ヘクター「頼む」
少女を起こす
しばらくすると、うなりながら少女が起きてきた
するとちょうどそこに車の整備を終えたバッカスが
油まみれの状態でやってきた
バッカス「やっと起きたか、状況は?」
ミカ「いやそれが…」
少女には記憶がなかった
分かった事はその少女が、自分の父の事しか覚えていない
ということだった
少女「?」
バッカス「参ったな…」
少女から記憶が抜かれていた
ヘクター達にはその理由がわかっていたが
バッカス「いうなよ…」
ミカ「…」
当然のことであったが、その事は伏せられるのだった
水戦争
アルバス国エルビス国かんで行われた戦争は
泥沼化し、拡大していく中
両国ともに疲弊し疲れ切っていた
エルビス国領土内で行われた水政策は
増えすぎた人口を支えるためだった
ターナ国が民間の中小企業を使いエルビス国内の道などのインフラを整備し
国の基盤となりえる資源事業の開拓
その中で起きた戦争だった
目まぐるしく時代が変わる中
その時代の流れについてこれない者もいた
アルベルト国である
第一次水戦争
それ以前からアルベルト国とエルビス国で行われていた戦争
積もり積もった負の連鎖が生んだ
資源争奪戦争だった
アルベルト国は歴史的に見てずっと野心が有るがゆえにエルビス、ターナ国に
経済的に虐げられてきた国だった
三日後
バッカス「水がねえ」
そんな中ヘクター達はある演説をする為にアルバス国にやってきていた
ミカ「だからいじるなって言ったのに…」
バッカス「まあ、何とかなるだろ!」
ミカとバッカスが揉めている中少女は一人水を飲んでいた
そう、ある任務を遂行するためやってきてそして
遂行している最中だった
「諸君自由とは何だろうか?」
「他人と分かち合うものか、それとも勝ち取るものか」
「わたしはそのどちらも正しいと思う」
「しかし自由とはその一方でその責任を問われるものだ」
「自由を歌い賛美しながら、他人を虐げる」
「そんな、ことが許されるのだろうか」
「今この国では、怒りや憎しみや悲しみが、 負の連鎖を引き延ばしている」
「それじゃあ、ダメなんだ」
「この国には報道機関が全くない」
「それを利用、しよう」
演説の目的はエルビス国内にいる過激派の解体だった
ヘクター「何とかなったな…」
ターナ国内にいるマスコミと接点を持つバッカスは、
ターナ国のマスメディアに優先して
エルビス国内の情報を優先して広めてもらう事に成功した、停泊しながら
インターネットという媒体を使って情報を広めてもらう事に成功したのである
そして次の作戦を実行する為に仲間達との合流を
急ぐのだった