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ショート劇場「続・北風と太陽」

作者: MOZUKU

「おい、北風ちゃん。また勝負しようぜ♪」

うぅ・・・またなのね。

コートを着た人を見かける度に、太陽君は勝負を仕掛けてくる。

勝負は簡単。コートを着た人を己の力を使って脱がせること、最初は私だって「余裕っち♪」と勝負に対する意欲があったのだけど、風を吹いたらコートは逆に脱がず、太陽の陽の光で照らされ体が暑くなると脱ぐという仕組みは分かってしまい、勝ち目の無い勝負を何回もやらせれて、メンタル的に参ってしまい、最近肌荒れが凄いです。こっちは女の子なんだから、たまには手加減して欲しいです。

「たまには・・・」

おっ、ハンデかな?

「たまには俺から先攻でやるぜ!!」

クソが、ビックリだよ。たまには女の子に花を持たせようとは思わんのか?だから合コンでいつもモテないんだぞ。

「よし、おあつらえ向きにコートを着た旅人だ。いくぜぇ!!」

いつもの様にピカーッ!!とウザいぐらい眩しい太陽光を出し始める太陽君。はいはい、これでコートの旅人はコートを脱いで、私が風を吹いたら着る流れね。この上ないぐらい私のプライドを打ち砕く流れだわ。

しかし、いくらピカーッ!!と太陽君が太陽光をブチかましても、コートの人は汗だくになりながらもコートを決して脱ごうとしない。

「くっ!!マックスパワーだ!!」

太陽君は百年に一度くらい出す本気を出して、日照り干ばつを起こすぐらいの太陽光を撒き散らす。これなら流石のコートの人も脱がざる・・・脱がない!!脱がないよあの人!!

コートの人は顔を真っ赤にして、コートの脇に汗染みを作りながらも、全くコートを脱ごうとしない。もしかして服にコートが縫い付けてあるのか?

「ぷはぁっ!!・・・駄目だ。あの野郎マゾか?」

先に音を上げたのは太陽君の方、この勝負なら百戦錬磨の彼がまさかの展開。

「き、北風ちゃん、試しに君もやってみなよ。まぁ、無駄だろうけどさ。」

ムカつく、けど無駄だろうなぁ。とりあえず少し吹いてみようかな。

「フーッ。」

どうせ無駄だろうから軽く吹いてみた。そよ風程度に。

コートが風に揺れる。その時に奇跡が訪れた。

まるで風が吹いたのがスイッチになっていたかのように、旅人がいとも簡単にコートを脱いだのである。

「はぁ!?」

太陽君は口をあんぐり開けて、何が起こったか分からない様子。

私はコートの人の背中を見ながら、何故だか胸がときめくのを感じた。



コートの旅人はコート片手にひた歩く。歩きながら一言だけポツリと呟くのだ。

「女に恥はかけさせられねぇぜ。」

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