咀嚼中に美味しいことを声で伝えたい
咀嚼している間は、言葉をあまり発することが出来ない。
口のなかにモノが入っている状態で、喋ることは、とても難しいことだ。
テレビなどの業界では、食レポというものがある。
それは、咀嚼中も、美味しさを表現しなければならない。
そこで、頻繁に使われているのが、【んー】という感心の唸り。
そして、【んんふー】という、美味しいの口を閉じたままバージョンである。
口を閉じたまま言える【んー】や【んんふー】が、大半を占めている。
それしかないとも言える。
だから、それに代わる言葉を探したい。
それに代わる言葉が見つけられたのならば、一気に、食レポは進化する。
ただ、食べているから、口をそれほど開放することが出来ない。
そして、口に何かが入っている時に、発することのできる言葉は、本当に本当に限られている。
でも、探せば、唇を閉じても言える五十音が、まだあるかもしれない。
これから、それを探していこうと思う。
マ行はというと、唇を押し付けて、跳び箱を跳ぶように、勢いよく上下の唇を離す。
だから、使うことは無理だ。
ハ行もパ行も、同様の、ロイター板踏み切りみたいな、唇の動きになってしまう。
だから、不可能だ。
やっぱり『ン』はスゴイ。
改めて、称賛したいと思う。
もう、他に都合がいい言葉は、ないのかもしれない。
『ン』の利点をいくつか、挙げたい。
まず、全く口を動かさなくていいこと。
そして、様々な種類、ニュアンスの『ン』があること。
『ン』のパターンは、もう計り知れない。
もう『ン』を活用して、『ン』を基準に、表現を広げてゆくしかないだろう。
『ン』の様々なパターンを、自分のなかで増やしていくしかないだろう。
五十音の、ほぼすべての発音の雰囲気は、【ン】に落とし込める。
そう信じている。
唇を離すもの、破裂音のもの、でなければ、その音に【ン】をミックスすることができ、いい感じになる気がする。
腹話術を勉強して、唇を閉じていても、喋れるように練習することも手だ。
でも、なかなか出来ないだろう。
唇を閉じたまま口内の空間を広げて、オーと言うこともできる。
でも、それは下品で、インパクトに欠ける。
だから、出来るのなら、『ン』を軸にして、様々な言葉を掛け合わせていく、それが一番いい。
そういう結論に至った。