雲のかたち
住んでる町の近くに、西に向かって下っていく坂道がある。
お休みの日の日暮れ時などに、少し遠回りしてその坂道を通ると、影になった住宅地の家々の屋根を傾いた西日が照らしていて、夕空は広くて、雲が輝いていたりするのが良い。
そんな時間を歩いていると、自分の後ろにも長い影が伸びていて、誰もいない時は、ついてくる影の様子を見てみたりする。
何が面白いのと聞かれても、なんとなく、としか答えられないのだが、手足部分が伸びてるのとか、なんか全体的に長くなっていて面白い。
そんな理解されにくいことは別にどうでも良いのだが……。
西に向かって降る坂道や階段を夕方に通るのは良いよ、という話だった。
今日もお休みだったので、たまたま夕方に近くを通りかかって、西に向かって下っていたが、ああ、雲に西日が透けてるなあ……と思って、おや、と思った。
夏の雲、積乱雲は透けにくい。夕陽に照らされた積乱雲は、輪郭が金色に縁どりされることはあるけれど、日陰は灰色になることが多い。
でも今日、見た雲は薄くて、すじ雲のように光が透けていた。それに、なんとなく高さを感じた。
これ、秋の雲じゃないか。
台風が何回か通り過ぎて、日本列島に秋が来る、というのは今までのセオリーだった。最近は、夏と秋のさかいめが分かりにくいが、秋はそんなちいさいところから始まっていくのかもしれない。
地上の公園ではまだ蝉がジージーと鳴いていて、まだ8月。気温も暑く、明日も暑く、夏真っ盛りなのだけど。