パスワード
パスワードを変えることにしている。
わりと、頻繁に。
なんとなく。
今までは、フワッとではあるものの、なんとなく同じ法則性というか、癖のような、似たような発想で似たようなパスワードをひねり出してきたのだが、とうとうネタが尽きてしまい、今までとは少し違う決め方を試してみた。
オシャレにできたような気がする。少なくとも自分では満足していた。早速変えてみて、すんなりと変更できた。
それが、つい最近の夜のことである。
さて、一晩眠ってさあおはよう、電車が長いからスマホでも、というわけでログインしようとした時だった。
思い出せないのだ。
変えた時に適当に、雰囲気だけで決めたからだろう。なんとなくこんな感じというのは分かるのだが、思い出せない。
なんだか勝手に思い浮かんでしまうワードはあるのだが、絶対違う。それじゃない。じゃあ何だと考えようとするのだが、頭の中が真っ白になって、もう何も出てこない。困った。唯一思い浮かぶのがさっきから頭から出て行かないハズレのパスワードである。
まあ…違うだろうなと思いながらそのハズレワードを入れてみる。
やっぱりダメである。
別に、パスワードなんて再設定すれば良いだけのことなので、そんなに実害はないが。
なんか、自分にがっかりした。
夜寝る直前に考えたことは、記憶に残りやすいのだろうか、残りにくいのだろうか。
脳科学者じゃないのでぜんせん分からないが、経験的には、早起きしないといけない日の前日に、何時に起きるよーと思いながら眠るときっかりその時間に起きれたりするので、どうだろう?
記憶はまず最初に海馬というところに書き込まれて、その後、忘れ去るか、長い記憶になるか別れるらしい。
たぶんパスワードは、忘れ去る方にされたのだろう。
海の馬はパカパカと、パスワードを蹴り飛ばしてどこかへ行ってしまったのだ。
夏が近いから、海に行ったのかな。
暑いからねェ。