カフェの隣のおじさん
カフェで仕事するようになって、しばらく経ったある日のこと。
いつもの時間にいつもの席に座っていたら、隣の席に来られたおじさんがしばらくしてから鼻歌を歌いだした。
いや、もちろん自由なんだけど、それがやけにはっきり聞こえちゃって、ちょっと困る。気になって業務に集中できない。
しかも、ずっと歌ってるならともかく、こんな感じなのだ。
ふんふんふふん
シーン
ふんふ
シーン
シーン
ふんふん
あ、おさまったかな?というタイミングでやってくるのだ。
ちょっと!気になるじゃないですか!
御本人は寛いで雑誌なんか読んでるのだ。スマホなんか見ちゃってるのだ。こちらの気も知らないで。
集中だ。集中しなくちゃ。
ふんふふんふ
気のせいだ。気のせい気のせい。このままじゃ残業になってしまう。
ふんふふん
し、集中だ。
ふーんふーん
ふんふふふん
ふん?
うがー‼︎
頼むよー。
……ということがありました。
結局いつもの席をあきらめて、座り心地の悪いカウンターに移動しましたとさ。
別のある日のこと。
メール対応中にどこからともなく聴こえる音。
カタカタ カタカタカタ。
……ふーんふーん
見ると、前のおじさんでした。
もーう!またなの?
なんだかご近所さんのような親近感が湧いてきますが、やっぱり席を移りましたとさ。
おしまい。
あと二、三回あれば、親戚の、面白いけど、ちょっと困るおじさん、くらいに思えるかもしれませんね。