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ハエは三回追い払うと寄ってこなくなる件について

 

 まだ四月だというのに初夏みたいに暑い。

 今日の気温は27℃。カフェでも電車でもクーラーがかかり始めている。これは例年より早いような気がするけれど、実際はどうなんだろう。クーラーというのは冷媒の液体を断熱圧縮と膨張を繰り返すことで冷気を作っているわけで(wikipediaなどを調べれば仕組みは載ってると思います)、その動力は発電所で作られた電気、ひいては化石燃料か原子力か再生可能エネルギーであるわけで、こんな時期からクーラーをかけるようでは化石燃料を昔より多く使ってしまうということであり、地球は温暖化する一方じゃないかと思うけれど、自分が汗ダラダラでも我慢できるかといわれると、それはちょっと勘弁と思ってしまう。




 この春から仕事を休んでいるので、今はカフェで溜まっていた残りの分を仕上げつつ、好きな時間に起きて、好きな時間にパソコンを立ち上げている。


 どこでも仕事をしていいというのは、あるいはしなくてもいいというのは、とても気楽である一方、なんとなく社会から取り残されているような不安定な気持ちになることがある。

 自分はどこにも属していない。属すことのできない類いの人間なのではないか、と時々考えてしまうのだ。


 こんなことを考えてしまうのはたいてい、部屋でぼーっとしている時が多いので、最近はできるだけ部屋にこもらないで、決まった時間に外に出て、今日みたいに晴れた日には外のテラスみたいなところで作業をするようにしている。


 外にいるだけで気分が安定するというのは、凄いことだと思う。特に今がいい季節だからかもしれない。暑すぎも寒すぎもしないし。たまに暑すぎるけど。




 人間にとって気持ちがいいというのは、虫さんたちにとってもいい季節らしい。

 ちょっと前までは、道路を歩いていると、ちっちゃなハエの集団(通称、あたま虫)のかたまりにぶつかることがあったが、最近はちょっとサイズアップしたハエさんやら何やらが飛んでいる。


 この方々はなぜか、コーヒーを飲もうとすると、気がついたら目の前の机をよちよちと歩いていたりするのだ。


 なんて警戒心が薄いのだろうと思う。


 私がもっと心が狭くて、虫に厳しい人間だったら、きみは今頃、紙ナフキンで潰されているかもよ?


 と言い聞かせたいところだけれど、相手は意に介さないかもしれないし、それより何より誰もいないところでひとりごとを言う変な人、と周りに思われるのは心外なので、あえて言わないようにしている。


 こんな時は、コーヒーカップをじっくりチェックして、そちらにもどなたかしがみついていないかどうか、まさかコーヒーの海で溺れたりしていないかを特に念入りに確認しないではいられない。


 でも、コーヒー、色が濃いからよく分からないんです。困ったことに。


 なので諦めて、いないに違いないと自分に暗示をかけて飲むことにしている。




 ハエって三回追い払うと諦めてどこかよそに行ってくれるらしい。


 そのことを聞いたのはもう五年は前のことになる。

 その情報を知る前までは漫然と、回数なんて意識しないで追い払っていたけれど、それ以来、ハエが近くに寄ってくるたびに試すことにしている。


 さて、今日である。

 小さなコバエ……ハエでいうと幼稚園から小学生くらいの子がこれを書いている机の上のトレイの上をよちよちと歩いている。この子はまだ飛べないのかもしれないので、トレイを隣の机の上でコンコンと叩いてみることにした。

 頭のなかの予想としては、ハエさんが、わわっ、といいながらトレイから滑り落ちて、お隣の机に軟着陸するの図である。わーん!ままー!と叫ぶかもしれない。いや、ハエは卵から生まれるのだから、ままという概念はないのかな。


 結果は、


 と、飛べるじゃん。。


 でした。なーんだ。なぜよちよちしていたのかな?


 成虫もそういえば、壁になんかにとまってることが多い。

 彼らは何を考えているのだろう。

 まあ何も考えていないのだろうなと思う。


 とにかく、私のまわりにはハエはいなくなった。めでたしめでたし。

 と思っていたら、いつのまにか戻ってきていた。


 違う子かもしれない。けれど同じ子が戻ってきたのかもしれない。見れば見るほどさっきと同じ子に見える。ハエからみたら人間は同じに見えるのか、違って見えるのか?など、ちょっとどうでもいい事が気にはなるけれど、今はそれはどうでもいい。


 もういちど、今度は紙ナフキンに乗せて、振り払う作戦をしてみた。

 なかなか警戒して乗ってくれないので、二枚で挟みうちにしてみる。あ、乗った。よしよし。それじゃ、あっちに向けて、えいっ。

 紙ナフキンを振ってみた。


 確認してみたところ、少なくともナフキンからは姿は消えていた。


 それから一時間くらい経っているけれど、今のところ、あの子の姿は見ていない。どこか、もっと安心できる素敵なところを見つけたのかもしれない。


 結論。


 三回追い払うと寄ってこなくなるのかは分からなかったけれど、今回は二回で戻って来なくなりました。


 ちなみに、前にバーベキューかなんかをした時は、確かに三回か四回追い払ったら諦めてどこかに行った気がする。


 実にどうでもいい内容だと思うけれど、ハエが寄ってきたら試してみたら面白いかもですよ。










注)あたま虫はハエ赤ちゃんじゃなくて、そういう種類のハエらしいです。

さっきはちゃんと確認しないでテキトーに書いてしまいました。すみません。…いえ、正確さなんか求められてはいないと思いますが、いちおうね。

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