リストラ悪魔と転生者が現代で大暴れするそうです
「死にましておめでとう。ようこそ死の世界へー」
ただひたすら《《無》》が広がる世界に、フワフワ浮いた椅子。
その上に怠そうな女の子が足を組んで座っている。
・・・・おかしな夢もあるもんだ、まぁ、最近疲れてたし、ありうることだと思う。
しかし夢とかいうのは基本的に、自分の意志とは関係なくストーリーが展開される。
だから俺が、こうしたいとかいう理想は、通じない。
つまり、俺はただひたすら、このフワフワ女を眺めてるしかないのだ。
流石にずっとこれを見ているのは、つまらない。とにかく俺はクエスト続き疲れてんだ。寝させて欲しい。
そうして俺は、寝返りをうった。
「いや起きろよー!!!」
フワフワ女が何か言っているようだ、がしかしクエストで野営中、いつ見張りの順番が回ってくるかわからない。そんな中、夢であろうと何だろうと、俺が今すべきは《《睡眠をとること》》、それだけだ。夢がどう進行するかは知らんが、そんなわけで俺は寝たいのだ。断固、応戦する。
「え?なんで耳塞ぐの?女神たるこの私が起こしてるのに!?
ふん、でも無駄よ。私はあなたの頭に直接語りかけることができるの。
どう?すごいでしょ。ねぇ、ねぇ。」
なんだよ、さっきまでだるそうにしてるかと思えば、無邪気に自慢してくるわがまま属性持ちかよ。美少女がそんなギャップ持ちでも時と場合を考えてをしいもんだ。
まったく.....いや違う!そういうことじゃない!何とか止めさせないと
「まず、お嬢ちゃん知らないかもしれないけどさ、冒険ってつかれるわけ、わかる?
今日なんかドラゴンに追いかけられてヘトヘトなんだよ。人間って疲れたら眠くなるもんだろ、大抵。だからせっかくだけど、夢から覚めるまでしずかにしておいてくれると助かる。じゃあまた、おやすみ。」
「うん、おやすみ.....じゃなーい!!なによ、この私を子ども扱いするわけ!?
これでも一端の《《悪魔》》なんだから、あんたみたいに老けてないだけで、よーっぽど長生きしてるし。そもそも、そんな寝たがり体質だから、ちょっと疲れたくらいで《《永眠》》するのよ。あっ、でもしょうがないか~、同じパーティーの女の子に《《一言》》も声をかけれないヘタレだものね。しょうがないわよね~www」
ブチッ
「おい!!お前!黙って聞かされてたら好き勝手、挑発しやがって!煽りのプロなんですか!?まずなぁ、誰が老けてるんだよ!!俺はまだ誕生日さんに十五回しかお会いしてませんけどぉ。そ・れ・に、あれはヘタレじゃない!せ、戦略だろ!あれは俺なりの戦略なんだよ、あの後もっと積極的にいく予定なんだ。あと一つ、全力で十キロ走って逃げ回って疲れない人間がどこにいんだよっ!逆に!!そりゃあ、永眠くらいするだろうよ。永眠くら.....い.....」
ん?ちょっと待て。気になるところがあるぞ。
「永眠ってなんだ。最近の子は言葉遣いが悪いってったって俺もそんな言葉使った事ねぇよ、人をあおるときに。縁起悪いじゃないか、撤回しろよ。ついでに謝れ。」
するとフワフワ女はきょとんとした顔でこう言った。
「いや、あなたもう死んでるじゃない。あなたの名前、ルーク・シームでしょ。確かに死亡リストに登録されてるわよ。死因は疲労死。寝てる間にすぅっと。」
なん.....だと。つまり俺はクエストでろくに成果を出さずに、ドラゴンに追いかけられて、その挙句パーティー仲間の女の子に一言も話さずにパタッと逝ったわけか。
不憫すぎるだろ、俺!!
しかし、そうすると、この煽りに長けた少女はもしかして神、神様なのか.....
「ん?私?私は悪魔よ。さっきも言ったでしょう。」
「えっ?神じゃないの?こういうのってさ、神が俺たちの迷える魂を導いてくれるとかそういう話じゃないの?しかも悪魔って人の命を奪うのが仕事でしょ。もしかして俺ってお前のせいで死んだとか?」
もし、こんな失礼悪魔に命をとられたとしたら、未練どころの話じゃない。
「そんなわけないでしょ、これでも私は上級悪魔なの。わざわざ雑魚の命を奪うなんて面倒なことは下級悪魔がすることよ。それに、あんたみたいなのにいちいち、死神様がお会いにあるわけないじゃない。ちょっとは身分をわきまえてほしいわ。」
好き勝手言いやがって、この失礼悪魔が!。
でも俺、この先いったいどうしたらいいんだ。
「その、上級悪魔さん。俺は一体これからどうなるんだ?もしかして、天国なんかにいったりするの?」
「天国?そんなものないわよ。生前の行動で死後、楽ができるなんてそんな都合のいい話あるわけないでしょ」
そんな、まさか! 天国が.....ない?
「本来ならね、人間は死んだら、相当な問題がない限り、神たちのご飯になるの。」
なんだよそれ!地獄より嫌なんですけど!ドラゴンに食べられそうになったと思ったら、次は神か。
「で、そこで一つ良い話があるの。あなたは神のご飯にならずに、しかも新しい世界で新しい人生を歩むの。どういい話じゃない?」
「え!そんな裏ワザみたいな方法が!?」
新しい世界でも一度やりなおせるんなら、それ以上望むものもない。
「実はあるのよ。でも一つ条件があるの」
新しい人生へのプレミアムチケット、それを手にする条件か
「それじゃあ、条件を言うわね。」
ごくっ
「もう一度人生をやり直す条件は..........
《《対象M》》を探すことよ!!」