この悪魔と転生者、ひょうきんすぎる
ここは冒険者が人口の半分以上を占める世界、ビニナウ。
多くの男たちは小さい頃から、冒険者を夢見て育ってきた。
この俺もその例にもれず、冒険者にあこがれ、そして今、一冒険者としてドラゴン狩りのクエストを受けているところである。
と言っても一人ではない。控えめに言っても美人な仲間と二人のパーティーだ。
かれこれパーティーを組んでから一年間経ったが、まったく進展がない。
声をかけようにも、十五年間身の潔癖を保ち続けた男(=童貞)の俺にはハードルは高すぎて無理だ。
・・・・・しかし、そんなヘタレな日々にも、もうさよならだ。俺はこのドラゴン討伐クエストをクリアしたらヘスティアに告白する!!流れは完璧だ。
ステージone『まず二人で協力してドラゴンを倒す』
ステージtwo『街に帰る途中で、プロポーズ』
ステージthree『そして二人は永遠に結ばれる』
こんな完璧なプランはない!断言できる。もはや成功する未来しか見えない。
そんなわけで、酒場で冒険者の呑み仲間に
「俺、このクエスト成功したら告白するんだ」
って言ったら、
「……お前、そのクエスト絶対行くなよ。死ぬぞ」
って言われた。意味が分からん。そのドラゴンそんなに強くないのに。
まぁどうせ《《羨ま精神》》で言ってるだけだろうが。
と、いうことをクエスト中に思い出してるから、気は散っていて、危険なのは確かなんだろうけど..........
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「キャー!!!なにこれぇぇぇぇえ!!」
「に、逃げろー!」
な、なんだよこれ。こんなの聞いてないぞ。なんで一個の巣にドラゴンが三匹も四匹もいるんだ。ドラゴンは孤高の存在で決して群れないと聞いてたのに。
「と、とにかく全力でにげるぞぉ!!」
「は、はいぃ~」
・・・・・とまぁ結果、完璧なプランが早くも崩れてしまったが、一緒に苦難を乗り切った仲間の絆みたいなものが芽生えたので、結果オーライといえば結果オーライ。
流石にここから、プロポーズはできないが、しょうがない。
「あ、じゃあルークさんは先に寝てください。私は今日、全然戦ってないので。」
「そうですか、じゃあお言葉に甘えて。あー・・・ところで、なんであんなにドラゴンがいたんでしょう?ドラゴンって群れないんでしょう」
プロポーズ大作戦が消えた今、少しでもいいから仲を深めたい。まずは些細な会話からだ..........って本に書いてた。
「そこは疑問ですよね。一匹だと思ってたらいっぱいいたから大変でした。」
「す、すいません。もっとリサーチしとけばよかったんですけど。」
「い、いえ。別に責めたわけじゃなくて、そ、それにルークさんのおかげで逃げ切れたわけですし、その..........か、かっこよかったです!!あ、じゃ、じゃあゆっくり寝てください。私、見張りしてきます。」
…走って行ってしまった。だがこれは好調な滑り出し、前途有望。
これからが楽しみになってきた。
よしっ、じゃあもう寝よう。今日はぐっすりねれそうだ。